第2231話 69枚目:残りあれこれ
そういう事をやっている間も時間は過ぎている訳で。まだ黒く濁った水で出来たような円盤の残りがある部分では激しい戦闘が繰り広げられている。私がルイシャンに乗ってとはいえ、実質1人で散歩しているのがその証明だ。何せエルルとサーニャが両方忙しいって事なんだから。
そもそも、私が1人でモンスターの群れを、それもこんな広範囲において、ほぼ完全に抑え込めるっていうのが良い方向での想定外の筈だ。今までのパターンだと、全ての方向を囲んで一斉に叩いて、それでもダメージ量が間に合うかどうかだったんだから。
……まぁそれを言うなら、あの円盤が残った状態で中央に辿り着く、っていうのがあれだったのかも知れないが。やっぱり全部削り切ってから中央に辿り着いた方が良かったかぁ。
「とはいえ、それにもやはり限界がある訳で。というか、削り切らないと詰む可能性があるのはバランスとしておかしいんですけど」
ともかく。良い方向での想定外があって、それを全力で生かす形で行動しているのが現在だ。円盤の残りがある部分に
ある程度以上のペースでモンスターを討伐していくと、円盤の残りも縮んでいくのが確認されたんだそうだ。流石に日付変更線までに削り切るのは厳しそうだが、それでも何とかなるだろう、との事。
……本来ならとっくに時間切れだったから、むしろあの緊急メンテナンスには感謝するべきかもしれないな。地獄を味わう事になった? その後の「敵を与える」奇跡を願っての戦闘も大概だったし。
「いえ。それとこれとは別の問題ですね」
違うな。それはそれ、これはこれだ。確かにあの、第二陣以前の
地獄はいくつかあるからまだマシ、という問題ではない。そうじゃない。危なかった。何かに流されるところだった。なお正しくイベントが機能していた場合、「第四候補」があれをクリアできたかというと……。
……いや、1人用に調節されてるんなら意外といけるかもしれないな? 何しろ手数が本領なんだ。数撃ちの魔法でも死ぬまで叩き込めば削り切れるから、初見で一発クリアは無理でも、何度かチャレンジすればいけた気がするな?
「どっちかというと、カバーさんの方が大変だった気がしますね……」
あの多頭の蛇竜は酷かった。むしろあっちの方が酷かった。というか、私が死ぬかと思ったのはあっちだからな。ちなみにまだ解体できてない。私がインベントリに入れっぱなしだ。どうしようこれ。
カバーさんも司令部と戦力の両方で動いてて忙しそうだし、今回の復活レイドボスである「囲い抱える飽溶の水禍」を倒してからでないと無理かな。素材として使えるようになってもまだ怖いのは変わらない気がするけど。
多頭の竜は死んだあとでもなおその毒で歴史に恐怖を刻むという伝説があるが、本当にな。……これも訓練として軽々倒せるようになる日が来るんだろうか。あの鍍金の竜みたいに。
「……というか、そうやって訓練相手にしてるからあの素材が倉庫に山積みになっていたのでは……?」
誰かが調子に乗ったのか、それとも訓練としてそれぐらいのレベルになったのか、明らかに鍍金の竜をレベルアップさせた感じの素材もあったんだよなぁ……。どうしような、あれ……。元の奴は今回、やっとポーションにいくらか加工出来たけど……。
周りのインフレも進んできて、それこそフライリーさんがほぼ騙し討ちで受け取った杖ほどの衝撃は無いとはいえ、それでも十二分に最前線かその先ぐらいの性能はあるんだよなぁ……。
「……。改めて、よく勝てましたね、あの時」
まぁ冷静に考えれば、あの時あの場にいたパーティが、少なくとも火力においては(住民を除くと)ほぼ当時の最高火力だったよな、って事なんだけど。
え? あの場で予想外の合流をした別クランの
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