第2230話 69枚目:やらかし原因
ルイシャンに乗って戦場を行ったり来たりしていたが、やっぱりどうしても、例のやらかしで地面が盛大に抉れている場所に留まる時間が長くなっていた。まぁそうだな。私がいれば、精霊さん達が魔力を使い放題になるもんな。
あれだけの地面の穴を埋めるには、魔力がいくらあっても足りないだろう。もちろん
ま、留まる時間が長いって言っても、ルイシャンの速足が並足になるだけだ。移動は続けるし、私本来の仕事は壁系魔法の塊を追加し続ける事だから。
「……あー……」
とはいえ、やってる事は基本的にここまでのお散歩と一緒だから、やる事はやりつつあのやらかしの原因を動画で探していた訳だが……やっぱりというか何というか、司令部名義で厳重注意を促すスレッドが立てられて、そこにやらかし部分の動画が上げられていた。
ただ遠目だから、動画だけでは何かがチャージされた後、極太のビームが発射されて反射されたことしか分からない。……まぁそれでも、魔法とか奇跡とかではなく、恐らく過剰火力の防衛兵器が原因だっていうのは分かったけど。
そして仕事のできる司令部なので、動画の詳細が一緒に書き込んであった。それによれば、やっぱり防衛兵器の攻撃で、想定以上に火力が出た。なおかつ漆黒の本体部分は、どんな攻撃でも確定反射、って話らしいんだが。
「新技術、マジックリンク……同じクラン所属、同じパーティ所属、かつ装備もある程度共通にする事で、魔力(MP)を共有し、強力な魔法を使えたり、魔力依存の設備の性能を引き出す……っていうかこれ、あそこですよね。あの、合同大魔法を最初に開発したクラン」
それを全力で使ってみた結果、チャージの仕方が明らかにヤバい事に気付いて慌てて周りに警告を出した、っていうのはまぁ、進歩だろうか。
その警告を受けて、司令部も既に止められない事を察知。元『本の虫』組も前線へ出動して着弾予測地点に全力で防御を張り、それで何とか防げたのがあの痕跡、という事だったようだ。
まぁ、今度はちゃんと事前に、この場所でこういう風に防衛兵器を使いたい、って申請を出していたようだし。だからこそ色々な対処が間に合ったって面もあるようだが……何というかなぁ……。
「……多少は進歩している、と言っていいんでしょうか。主に周りへの警告を始めとした、最低限の気遣いって意味で」
たぶん、選んだ防衛兵器もちょっとな。こう、本来なら広範囲を巻き込んで吹き飛ばす系の、竜族のブレスみたいに着弾地点で爆発するビームを撃つものだったらしいんだ。
それが過剰威力になった結果貫通力が高まり過ぎて、慌てて下の方に向けたけどそれも間に合わず、かつ地面を削る形でもエリア中央まで届いてしまったらしい。
……多少残ってたもしくは回復した部分を吹き飛ばし、漆黒部分に届いて反射されて、半分以上地面に当たった状態でもまだ「着弾時の爆発」が起きなかったのが想定外だったんだろうな。地面に「当たった」判定にならないほどとは。ちょっと威力が上がり過ぎたようだ。
「まぁ、あそこも研究系クランの筈ですし、ちゃんとどれくらいやったらアウトだったのかっていうデータはとってる筈ですから……二度目は無い、と思いたいですが」
流石にここまで……やらかしとはいえ、ある意味成果を出した以上は、司令部も注目するだろうし。もちろんクランとして開示できる範囲もあるだろうから、完全に何もかもって訳では無いだろうけど。
それでも、現在割と「合同大魔法」の技術自体は広まっているし、使われている。そして今回のマジックリンクという技術も、まず有用だ。……初手のやらかしがやらかしだったが、その分だけ、ここまでの威力が出せるっていう証明にはなったし。
っていうかあの黒く濁った水みたいな部分、ここまで突き抜けた火力だと、水の塊にならずに吹き飛ぶのか。もちろん、残ってる体積によるんだろうけど。
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