第2229話 69枚目:支援方針
どうやら私が設置する壁系魔法の塊、精霊さんに頼んでやってるっていうので余計に集客効果(?)が高いらしく、その周囲が一気に楽になるらしい。
っていうのが分かったのは、ついつい精霊さん達の悪ノリに合わせて、せっせとその塊をあちこち繋いで成長させていく間に、すっかりその内側、エリア的には外側で、戦闘が落ち着いたからだった。
もちろんエリア中央からはまだまだ大量のモンスターがやって来てるんだが、
「なのでこの距離のままぐるっと回って、あの大きな塊が残っている場所以外に設置して欲しい、と。……「第一候補」が儀式場に居て広域支援をしている場所にもいっていいんですか?」
「こちらがだいぶ落ち着いたため、応援を出せるようになりました。戦力さえ足りているのなら大丈夫だろうと、既に撤退されています」
なるほど。まぁ儀式的な意味で干渉しないんなら大丈夫か。というかそもそも、「第一候補」が最前線に居るって時点でおかしいからな。たぶんもっと後方で、それこそまだ地味に続いている「異界の知識」アイテムの解呪とかをしてるんだろう。
という事でルイシャンに来てもらい、まずは右回りで空中を移動し、壁系魔法の塊を繋いでいく。そしてその幅は、気持ち厚めにしておいた。
何せそこそこの時間持つとはいえ、設置すればするだけモンスターが自滅するんだ。時間切れで消えるより、モンスターが突っ込んできて相殺される方が絶対に速い。
「あぁ……まぁ、そうなりますよね。あの黒く濁った水のようなものからモンスターが出現するなら、それが多い場所の方がモンスターは多いでしょうし」
「ピュイ?」
「いえ、あっちには行きませんよ。領域スキルを反射されると大変な事になりますからね。様子を見つつ、一度戻りましょう」
そして端というか、円盤のようなものが残っている……たぶん4分の1ぐらいだな。のところとその外側を見て、司令部がそういう、わざわざ戦場を減らすような指示を出したのか理解した。
領域スキル、確定反射らしいからな。神の力と同じ扱いのようだ。まぁ確かに近い物ではあるだろうけど。だからしっかりと距離を置いているんだし。
という事で、なんなら壁系魔法の塊を更に付け足しつつ出発地点に戻る。そしてそこから、左回りに移動しつつ再び塊を繋いで設置していく。うーん、こっちもこっちで大変な事になってるな。
「というか、あの地面を抉っているV字の巨大な溝は……」
……何か、確か「第一候補」が儀式をしていた筈の要塞が見えてくる辺りで、明らかに巨大な攻撃を放ち、そしてそれが反射された痕跡が見えたが、理由までは分からなかった。
「第一候補」がいた要塞から発射された感じではなかったので、たぶん別の誰かがやらかしたのだろう。神の力は確定反射、一定以下の威力の攻撃も反射されるって、司令部が全体連絡スレッドに書き込んでるんだけどな? いや、反射されてるだけマシか。あの威力で浮かぶ水の塊になってたら大惨事だ。威力相応の大きさになるんだから。
後で動画を探してみるか。これだけ派手なやらかしだったら、誰かが「こうなるから絶対にやるな!!」っていう警告として、切り抜き動画を作ってる可能性が高い。もちろん元の動画の人に許可を取った上でだが。
「まぁ元が観測班ですから、司令部自らその部分を抜粋している可能性もありますけど」
しっかし、派手にやったなぁ……だいぶ崩れててもあの深さって事は、少なくとも反射された方は半分以上地下だったんじゃないか? まぁ地上で若干斜め下に向けて撃って、反射されたらそうなるだろうけど。
で、それが完全に戦闘範囲外にまで続いて……えっちょっと待て。
「…………。あぁ、流石にギリギリ、工事現場に被害が出るのは阻止出来たんですね。ほんとギリギリですけど」
その射程というか、攻撃範囲の広さを見て、慌てて反射された後の攻撃痕を目で辿ると……かなり深い溝が、途中で太い三日月のような形になっているのが見えた。
場所は工事現場のすぐそばであり、一番深いところからせっせと埋め立てられつつある。たぶん誰かがあそこで防御して、周囲に攻撃を散らすような形で直撃を阻止したんだろう。
ただ私が痕跡を目で辿れた通り、埋め立ては全然進んでいない。……まぁそれはそうだな。ちょっとあれは深すぎる。しかし反射された理由もあれだが、本当にどこの誰が何をやらかしたんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます