第2225話 69枚目:回復不足
どうやら30分ほどしたところで、かなり最初の方に攻略が始まっていた増殖の大元となるダンジョンが攻略されたらしい。周囲はモンスターだらけなので安全とは言えないどころか、急いで上空か周囲のまだ出現スポット化してないダンジョンに逃げないと袋叩きに遭う危険地帯なのだが、攻略者はベテラン勢だったらしく、空へ逃げていた。
空を飛んで一番近い防壁付き砦に移動していった後、素早く報告と情報共有が行われたんだろう。全体連絡スレッドが更新された。
「……ひとまず内部の仕掛けに変化は無し。ただし「導きのタブレット」でサブクエストを検索するとカウントダウンが表示され、司令部の推測では挑戦中のダンジョンがモンスターあるいはモンスターの出現スポットに変化するまでの残り時間、と」
流石ボックス様、最高さが留まるところを知らない。一番欲しい奴が絶対必須のツールにくっついてきてるとか最高。本当に最高。ありがとうボックス様。
まぁでも制限時間が分かるって事は、増殖の大元となるダンジョンだけではなく、その周囲に出現しているがモンスターの出現スポットになっていないダンジョンが、ダンジョンとして攻略できるって事だ。
レイドボスの能力のせいなのか、普通に攻略した方が難易度が低いのは間違いないらしい。まぁそうだな。レイドボスが用意したリソースをレイドボスが活用してるんだ。何か補正、ブースト、効率上昇、そういうのがかかっていてもおかしくない。
「とはいえ、実際その制限時間で攻略できるかどうかは別の話ですが」
それでもベテラン勢なら何とかするのだろう。脱出したらモンスターの群れの中に放り出される訳だが、何ならすぐ近くの別のダンジョンに飛び込めばいいんだし。通常の仕様ならともかく、ギミックの方なら消耗品は温存できる。
というかベテラン勢をしても、通常のダンジョン攻略の方が、通常空間での地獄もとい大規模戦闘の方がマシだろうしな。いくら大規模戦闘に慣れている上に「敵を与える」奇跡の時より敵自体の強さが下がってるとはいえ、戦闘が続いているのは間違いないんだし。
それが厳しい事だっていうのは、未だに全く回復する様子の無い私のリソースを見れば明らかだ。私の方が6割を切らないように、受け手が3割を越えたら止まるようにしているのに、そこで固定されたかのように動かないからな。
「つまり、最低でも私の回復力と釣り合うだけの人数が、どれかのリソースにおいて3割を切った状態って事ですからね。回復が間に合って無いんですよ」
流石に各種リソースの量を常に一定値以下にするスキルは確認されていないし、装備はいくつか種類があるものの、私がリソースを配っているのは既に分かっている筈だ。減っている状態で無ければ不都合があるなら、別の戦場へ移動しているだろう。
それに、そんな人が1人2人いた程度では私の回復力には勝てない。だからこれは、純粋に、かなりの大人数がギリギリの状態だって事だ。
……とりあえず見た目には立て直せたように見えるんだが、その実まだまだギリギリなんだろうなぁ。とにかく生き残る地獄から、絶対に勝ちに行くレイドボス戦に、あまりにもぬるっと移行した、っていうのもあるかも知れないけど。
「セット効果で更なるステータス補正が入っていますから、その分割合回復の自然回復力も上がっている筈なんですけどね……」
ちょっとこれは、こうやって見学してられる間にご飯を食べ直しておいた方がいいだろうか。リジェネ効果のあるポーションも飲んだ方がいいかもしれない。私が回復力を上げると、全体に行き渡る状態だし。
まぁ全体に配るんだから焼け石に水かも知れないが、そもそも私が供給能力を開放している時点で何もかも足りてないしなぁ。無いよりマシならやっておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます