第2223話 69枚目:変化推測
全体連絡によって対処法が伝達された為、最前線は何とか立て直す事が出来たようだ。完全に修復されただけではなく、更にこう、防衛力というより火力の上がった砦付きの防壁がまだ十分に残っていたのもあるだろう。
現在既に「敵を与える」奇跡は終了しているが、それでも大量にモンスターが出現しているのは、やっぱり復活レイドボス「囲い抱える飽溶の水禍」の本体に接触する事が出来るようになったからだろうか。
思ったよりも早くエリア中央の本体に接触したのか、ログインしてからリアル30分しか経っていない。このタイミングでログアウトしても、残りのログイン時間は使い切れないんだよな。
「となると、(内部時間)残り2時間か2時間半ってところでしょうか。別にこのまま、セット効果付きの領域スキルを展開しているだけでも十分貢献にはなっているでしょうが……」
しかし、改めて戦場を見回すと、酷いな。いやようやく立て直せてきた感じの戦闘圏内もだが、領域スキルの効果が。特に今領域スキルを最大範囲に展開しているし、もちろん【領域強化】の仕事でその範囲は戦場全体を覆うほどだ。
という事は、その範囲にいる全ての敵と味方がステータス補正の対象としてカウントされる訳で。いくらその補正が「加算」だとしても、これだけの頭数がいれば、補正の桁だって跳ね上がる。
……正直、今いつも通りに動けるかと言われると、ちょっと厳しいかもしれないんだよな。制御力は鍛えてきているから行動事故は起こさないと思うが、踏み込みで足元に罅を入れるぐらいはありえる。【踏破性能・極】が、自分で足場を壊した場合も発動するかは分からないし。
「……まぁ、発動はするでしょうね。だから周辺被害だけが出る可能性が」
気をつけよう。マジで。
さてそれはともかく。司令部更新の全体連絡用スレッドを確認すると、どうやらあのモンスターの群れは、攻略しようとすると増殖するダンジョン、によって増えたダンジョンがモンスターの出現スポットに変わり、出現しているようだ。
……って事は、「敵を与える」奇跡でダンジョンの元となる水晶玉がモンスター及びモンスターの出現スポットに変わったのは、割と正規の変化だったのか?
と、言う事は。
「確かエルルが、
まぁ……たぶん、出てくるんだろうなぁ……。
ここで改めて全体連絡スレッドを確認。まだ検証中なようだが、増殖したダンジョンは、元となったダンジョンから遠い場所にあるものから出現スポットに変わっていくらしい。
何故その検証不足の情報が全体連絡スレッドに書き込んであるかと言えば、それは当然、そのダンジョンの攻略度合が出現スポットに変わった後、どれだけのモンスターが出現するかに影響するからだ。
「なおかつ、元となったダンジョンが、その厄介すぎる巨大なクラゲになる、と、司令部も予測してるって事でしょうね」
だからまだちょっと検証が足りない情報でも出したのだろう。遠い場所にあるダンジョンから順番に出現スポットに変わっていくのなら、中心にある元となるダンジョンが何になるのかは、少なくともベテラン勢なら察しが付く。
そして察しが付くなら、ただのモンスターの数を増やしてでも、厄介すぎる巨大クラゲの出現を阻止するべき。そういう結論になるだろう。私もそうするし。
「ま、今の状態だとここから魔法で援護するより、素直に供給能力を使っていた方が役に立つでしょうけど」
しかし回復しないな。領域スキルに固定値でリソースを投入してる気がしてきたぞ? 実際は全くしてないんだけど。
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