第2214話 69枚目:対策実行

 絶対、特にあのゲテモノピエロなんかには絶っっっ対に、存在すら知られてはいけないスケルトンキー。それを実際に使う役がエルルに回って来たのは、魔力補給の為の足つきグラスを持つ私との連携もあるが、それ以上にその種族特性もあったようだ。

 まぁ、そうだな。本気を出したエルルは私でもどこにいるか分からないから。元々ステータスが高いのは知られているし、万が一見つかったところでサーニャという前例がある以上は「やっぱ竜族の『勇者』すげぇ」で終わるだろう。


「(そもそも、これだけダンジョンが出現して、それが端から攻略され続けてる以上、その数が瞬間的に減ったところで分からないだろうし)」


 で、そんな事を思いつつ私は何をしているかというと、ルイシャンに乗ってののんびりお散歩を再開していた。ただし中央からの距離は同じ位置で、あの結局円盤だった黒く濁った水で出来た感じのあれに対して、半円を描く形で行ったり来たりしている。

 やっぱり一ヵ所に留まるより、ある程度動いて一定間隔で広い範囲を領域スキルの効果にさらした方が色々と良いらしい。なお足つきグラスのついでに精霊さんへも魔力の供給を開放しているので、工事も順調に進んでいるようだ。

 なんで半円かっていうと、残りの半分の内、更に半分は成長する装備の超強化用で、もう半分は「異界の知識」アイテムの獲得用だからだ。つまり、私がお散歩している半円部分はダンジョンに変える事で体積を減らす訳だな。


「精霊主導の工事の方も問題なし、と」


 魔力の方はというと、流石にギミックタイプのダンジョンをクリアした瞬間は割とごっそり持っていかれるが、その後の報酬受け取りや出入りの時間で回復しているので問題ない。

 流石に連続5個ギミックタイプ、とかになると厳しいが、今の所そこまでいったのは1回だけだし。そもそも、あのスケルトンキーより精霊さんが持って行く魔力の方が多い。

 やっぱり瞬間的に消費するより、ずーっと持って行かれ続ける方が最終的にたくさんになるんだなって。そして精霊さん達は私の魔力が少なくなると加減してくれるので、魔力切れにはならなさそうだ。


「(まぁもちろん、鍵の消費魔力が少ない訳では絶対にないんだけど)」


 むしろ私の魔力がごっそり減るとか、たぶん領域スキルにリソースを叩き込んで出力を上げる時ぐらいじゃないだろうか。もちろん、領域スキルの燃費が悪いって話でもない。必要出力が異常に高い瞬間があるって話だ。

 ともかく。こうやって私が広域支援をしつつ、召喚者プレイヤー全体で数の力を使い、一部特級戦力で加速をかけている現状が恐らく最高効率。これ以上となると、召喚者プレイヤーの稼働率を上げるしかない。

 とはいえ、それは流石に司令部でも無理だ。だから勝負は、結局週末になる。


「……それまでに、削れるだけ削り。備えるだけ備えて……あとは、それで間に合うかどうか、ですが」


 本当に通常攻撃の反射が厄介なんだよな。そうでなければ成長する装備の超強化という大幅な戦力アップがあったベテラン勢や、エルルやサーニャ、「第二候補」と言った戦闘方向の特級戦力を止められないからかも知れないが。

 神の力の確定反射はたぶん「敵を燃やし尽くす」特性付きの灯りの奇跡対策だろうし、一応ギリギリ辛うじて、厄介ポイントの理由は分からなくはない、んだが……。



 そもそも、そんなギリギリの手段を使わなくても攻略できる難易度にしておけと。それだけの話だと思うんだよなぁ。

 私だって、特級戦力無しで攻略できるんならそっちの方がいいって思ってるんだぞ。毎回毎回どうにもならない上にどうにかしないとヤバいから、全力どころか死力を尽くすことになってるだけで。

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