第2149話 68枚目:問題対処
それでもまぁしばらく戦ってれば何とかなる。「実体化した負の感情」は何も無い平地だとそのまま蠢いているだけだが、魔法陣の形になった溝が近くにあったら勝手に寄っていくようだ、というのが分かってからは、もうちょっと人も増えてきたし。
既に召喚されたモンスターに「実体化した負の感情」が触れると、モンスターが超強化されて、動きの変化に対応できなかった
私は引き続き領域スキルを展開して、周辺へのバフと精霊さんの結晶に対する支援だ。うちの子は超強化されたモンスターへの対処に走り回っている。
「しかしそれにしても、随分な量を吐き出しますね。流石にそろそろ品切れを起こしてもいい筈なのでは……」
はて、と若干首を傾げながら魔力回復ポーションを飲む。うん。ペースはまぁまぁ落ち着いているが、精霊さん達が私から魔力を持って行くからね。かといって供給能力を開放しても手ごたえが無いのだから、精霊って難しい。
まぁ精霊さんが魔力を持って行くと、魔力の供給と浄化が同時に行われるようだから、効率的にはこれでいいんだけど。私の回復力で追いつかない量って、どれだけ必要なのかとも思うが。
しかし噴き出してくるペースが落ちないな。精霊さん達が集まって固まった結晶の欠片が出てくるって事は、あの噴き出してくる根元に復活レイドボス「膿み殖える模造の禍命」の本体がいるのは間違いないだろうけど。
「……ん?」
まぁそれでも全体の状況は見ていた訳で。だから見えたんだよな。
いつだか、聖地からのお湯を直輸入するのに使っていた長大なホースを、そこそこ離れたところからせっせと伸ばしてきてるのが。
ついでに、そのホースの先に、滅茶苦茶デカい魔法陣が溝の形で掘ってあるのが。
「…………。ホースは持つんでしょうか……」
たぶん、あれで吸い出すつもりなんだろうな……。というのは分かったんだが、問題はホースの耐久度だ。というか、「実体化した負の感情」なんだから、触れたら問答無用で侵食されると思うんだが。
……大丈夫なのかな。一応は聖地に湧き出る神の力たっぷりなお湯を通して問題なかったから、大丈夫なんだろうか。もしくはそうやって使ったことがあるから何かの耐性がついてるとか……?
吸い上げるところにはしっかりネットを取り付けて結晶の欠片が入り込まないようにしてるし、ポンプ部分はあれ、魔法を使って可能な限り小型化したんだろう。なんか金属の輪をくっつけてるだけだ。そしてそれの先端が、ぽいっと噴き出し続ける「実体化した負の感情」の流れの中に、放り込まれた。
「わぁ」
瞬間、すごい勢いでホースが膨れていったのはまぁそりゃそうだろう、としか言いようが無いんだが……放り込まれたホースの本数が増えるにしたがって、見て分かる程に「実体化した負の感情」が噴き出す勢いが落ちていった。嘘だろ。あの太さで勝ってるのか。
そしてホース自体は何も問題なく「実体化した負の感情」を通しているようだ。すごいな。でもあれって確かまだ防ぎ方確立してないんじゃなかったか? もしかして試作品? ……いやでも、それなら全部のホースが無事って言うのが不思議だな。
……。そう言えば別に地面に染み込む訳では無かったから、何か対象外になる条件が見つかったのかもしれない。そしてそれをホースに応用したと。色々研究してる人はいるもんだなぁ。
「お嬢、何かいきなり勢いが緩んだんだが」
「たぶんこのまま緩み続けますし、何なら噴き出す以上の量を吸い出せるようになるでしょうね」
「……。あれか。いつの間に」
「ついさっきですよ」
そしてすっかり噴き出す量が普通の湧き水ぐらいになったところでエルルが戻って来たが、私はそう推測しながらホースを指さした。エルルはその向こうの、巨大な魔法陣型の溝に大量の「実体化した負の感情」が流れ込んでいるのまで確認したようだ。
掲示板を確認したら、一般
うん。何というか、司令部は司令部だったな。色んな意味で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます