第1954話 65枚目:正体推定
土曜日から私が参戦して、そのまま見えない天井の正体が判明、攻略法が決まって、稼働率が高い状態の
モンスターの群れも出現するにはするが、今更その程度で止まる訳が無いしな。今までどれだけ数を相手にしてきたと思ってるんだ。特にレイドボス相手。取り巻きで地面が見えない程のモンスターを召喚するのが基本になってる部分があったから。
そんな訳で、日曜日の夜のログインに突入する頃には、外周3周分ぐらいのエリアが突破されていた。もちろん見えない天井の本体であるガラスの塊のようなものは残っているし伸び続けているんだが、地面を抉るようにして砕かれているようだ。
「…………あー…………」
「末姫様、どうされました?」
さてそこまで進めば、司令部はこのエリアにいる復活レイドボスのオリジナルがどれなのかぐらいは突き止められる。私はちょっと分からなかったのだが、司令部が更新する全体連絡スレッドを見て納得した。
「いえ。ちょっと予想外だったのですが、十分納得できる情報が来たんです。ここにいて待ち構えている、あの見えない天井の元凶が何なのか、という部分で」
「正体が分かったんですか!?」
「えぇ。一応。もちろんオリジナルから、どれだけ何が変化しているのかまでは完全に分かった訳ではないんですが」
なお私は相変わらずニーアさんと一緒に、見えない天井の本体らしきガラスの塊のようなものの撃破を続けている。周りの
ある程度外から見えない天井が砕かれて、高さ制限がマシになっているとはいえ、やっぱり中央付近は高さ制限がきついからな。どうやらエリアの中心に近づくほどガラスの塊のようなものの再生もしくは再形成も速くなるらしく、高さ制限に引っかからないメンバーで突入した方が確実との事だ。
で。司令部が推測という名のほぼ確定した、このエリアにおける復活レイドボスのオリジナルは何だったか、というと。
「恐らく「沈め捕える無温の氷晶」ではないか、という事です。……そう言えばニーアさんは、オリジナルと戦ったことはありませんでしたね」
「そうですね! 境界線を開く為に挑んだ試練でも、恐らく挑んでいないかと!」
「あれは「模造の」でも「外法の」でもありませんから……竜都の大陸の、西側の海を塞いでいた巨大な氷の塊だったやつなんですが」
「あれですか!?」
そう。あれだ。どうしたって絶対に冷たい印象があったから、全く温度に変化がないせいで気付かなかった。が、氷、ではなく、晶……結晶の方に変化がかかっていたんだとしたら、温度が無くてもおかしくはない。
まぁ言われてみれば確かにあいつなんだけど。見えない天井ではあるが、無理矢理こちらを一定以下の高さに抑え込むところとか、まさにそのものだ。重力変化こそないが、上下方向に動ける範囲が減るという意味ではそのままだもんな。
後は、どこか出てきた順番とは違って出てくる筈、って思い込みもあったかも知れない。ランダムなんだからそう言う事もあるだろう。
「ここには海もなければ気温もむしろ若干暑いぐらいなのですが、あの氷の塊がここにいるんですか!?」
「能力が付け足されて何かしら変質を起こしている事は間違いありませんからね。冷たくない氷、ぐらいの横車は押して通るでしょう」
「なるほど!」
しかし、あいつかぁ……。寒さが無いっぽいのは朗報だが、思い出すのは船精さんの「ギャラリー」だ。あれは、その、あれもあれで複数の意味でエグかったからな……。
流石に今回要救助者はいない筈だが、何かしら、
オリジナルは気温が問題だったが、今回は恐らく状態異常とダメージの積み込みが問題になるんだろう。……これ、【月燐石のネックレス・寵】に界外耐性が追加されてなかったら、正直私でもキツかったんじゃないか?
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