第1716話 59枚目:妨害状況
巨人サイズの棒人間はとてもしぶといので、数が集まると撃破ペースが間に合わず、防壁への直接攻撃を許してしまう場合がある。攻撃方法としてはその棒みたいな腕でばしばし叩いてくるだけらしいのだが、大きいってだけで十分脅威なんだよな。
だからそういう場所を巡って戦力として参戦し、対処できるだけの数まで減らして次の場所へ、という形で世界中を飛び回っていた。いくらしぶとくても、竜族の『勇者』2人がかりだと秒殺だし。
しかしそれにしても、思ったより数が多いな。未挑戦状態の野良ダンジョンから出てくると言っても、その野良ダンジョンもそれなりに探さないと見つからないぐらいの数になってた筈なんだけど。
「ちぃ姫さん。すみませんが移動先を変更して頂いてよろしいでしょうか」
「もちろん構いませんが……」
「どうやら各大陸で、例のダンジョンを増やすモンスターが出現しているようです。そちらの掃討は手の空いた
「あのゲテモノピエロは……分かりました。複数個所あるんですよね? うちの子にも声を掛けて、別動隊として動いてもらって下さい」
「ありがとうございます。手配します」
ほんっっっとに、一番手が回らないタイミングで、一番面倒な事になる場所に嫌がらせをしてくるなぁ……!
人員は削れた筈だが、前回のイベントの様子を見る限り、それなりに組織としての力も回復しているんだろう。そもそも「モンスターの『王』」と協力関係にある以上、手駒という意味での数の力は使い放題なんだろうけど。
野良ダンジョンを放置した末のスタンピート発生。そこまでのカウントダウンを早める手段があるのも確定しているんだから、いくら消費しても痛手にならない駒があるなら、ダンジョンを発生させるモンスターだっていくらでも出現させられるだろう。何せ難易度の高いところに、そこそこのモンスターを流し込むだけでいいんだから。
「…………マジか」
「本当に何でそこまで動いて捕まらないの? あの邪神の信徒」
「私が聞きたいですし、むしろ本人達以外は皆知りたいんじゃないでしょうか」
という訳で予定を変更し、高難易度の野良ダンジョンの攻略だ。ははは。野良ダンジョン内部での特殊な素材がたくさん手に入るなぁ。
本当に、あの野良ダンジョンを発生させるモンスターを、広範囲でピンポイントに探索する手段が確立してて良かったな。と、しみじみ思う現在は、土日を乗り越えた月曜日の夜だ。
どういう手段を使っているのか……もしくはモンスター側に、自由な転移が出来るモンスターでもいたのか、ゲテモノピエロに振り回され続ける土日だったからだ。素材はたくさん集まったが、納品の手は一時的に止まってたからな。
もちろん今はその大量の素材を使って生産作業中だ。そろそろ納品に必要なアイテムの桁がすごい事になってきているが、まだ対応できる。素材さえあれば。
「まぁその素材も、大量の「素材箱」がある以上、しばらくは尽きないでしょうけど」
尽きたところでボックス様の試練に挑めばいいんだから、問題は無い。……ただ問題があるとすれば、まだ野良ダンジョンの発生ペースが落ちてないって事だろうか。
私がゲテモノピエロの移動手段に、転移、というものを含めた理由である。明らかにおかしいペースで、問題のモンスターをいくら倒しても野良ダンジョンが湧き続けているのだ。
まぁ問題のモンスターが「いくらでも倒せる」っていう事自体がおかしいんだけどな。つまり、新しく出現して追加されてるって事だろ。
「今回は流石に、少なくとも今相手をしている「モンスターの『王』」を倒すまで、止まらないかもしれませんね……」
それはつまり、ただでさえ「モンスターの『王』」を2体同時に攻略しなきゃいけない分だけ手が足りないのに、更に戦力を割かなきゃいけないって事だ。
今は納品であり生産のターンだからまだ対応できているが、この調子で本気の戦闘のターンに入ったら……厳しいどころじゃないんだよな。
それが分かってるから、こういう形で妨害して来てるんだろうけど。全くあのゲテモノピエロは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます