第1717話 59枚目:イベント終了

 改めて各召喚者プレイヤークランや国及び組織に話を通して連携する必要性が出てきたが、まぁ相手が相手だからな。片方は一応まだ分類だけはこちらの世界の神なのでちょっと強硬手段はとれないが、それでも共通の敵として据えるには十分だし。

 という事で、結局最後の土日にもまた結構な数の巨大な棒人間もとい巨人サイズになった人工使い魔が出てきたが、イベントはそのまま終了した。私も世界中を駆け回ったし、うちの子も動いて野良ダンジョンを攻略しまくってくれたので、落ちた街は無かった。

 それでも若干小さな町や村には被害が出てしまったとの事なので、完勝とは言えないんだよな。っち、やっぱりカウンター覚悟で顔の境目部分から半分にしてやるんだった。


「お嬢?」

「魔眼の集中攻撃食らうのとたたっ斬った時のカウンターはどっちが重かったかなと……」

「止めろ。というか、攻撃食らったとは聞いてたが魔眼だったのか?」


 おっとしまった。流石に20以上の魔眼を一斉に食らったとは言ってないんだよな。ほとんどレジストしたからその内訳もよく分からないし。

 さてイベントが終わったという事は報酬が届いているという事だが、今回は珍しくランキング要素が無かった。……あれか? 運営は新人とベテランが協力してイベントを進める想定だったのか? そんな気配は確かにしてたけども。

 なお報酬の内訳は、いつもの通常報酬及び高級報酬、それを越えた分は建材だったので省略。クラン向けの報酬は「第一候補」に聞くか『アナンシの壺』のまとめを見ないと分からないが、たぶん似たようなものだろう。


「となると、次のイベントへのヒントが無い訳ですが」


 ヒントというか変わったアイテムが無いって事は、たぶん似たような方針のイベントなんだろうけど。つまりベテラン召喚者プレイヤーが想定した通りの展開に近いって事だ。

 とりあえず報酬で貰った大量の建材は個人で建てている神殿に突っ込み、消耗品の生産作業を続けている。野良ダンジョンの発生ペースは落ちて無いんだけどな。野良ダンジョンを発生させるモンスターの出現率も。

 というか、そっちに対処する為にエルルとサーニャを含めたうちの子が動いているから、私が島で大人しくしているとも言う。護衛対象はいない方が自由に動けるからな。仕方ない。


「この調子だとそう間もなくスタンピートの発生が阻止しきれなくなると見て、各集落の防衛態勢を見直して、必要なら修理して、消耗品を蓄えてと、生産側も大忙しですからね……」


 だから私も生産作業してるんだしな。来月と再来月、7月と8月はまず間違いなく召喚者プレイヤーが忙しくなって防衛まで手が回らなくなるから、住民自身で防衛して貰わないといけない。

 世界全体で空気が張り詰めてきてるから、あんまり良くは無いんだけどな。何か気晴らししたいところだが、実際に状況は予断を許さないというか、戦争の準備を進めている状態と何も変わらない。だから、空気が張り詰めるのは避けられない。

 本来はこうなるまでにもう少し猶予があった筈なんだが、それをきっちり刈り取られたからなー。本当にゲテモノピエロの嫌がらせは的確だ。


「不安が蔓延した状態だと、精神的な限界が下がりますからね……。実際は、事前に負荷が積み込まれていたって事になるんでしょうけど」


 実際に仕掛けてくるかどうかは分からないが、これでまた警戒対象が増えるのは間違いない。本当に手を抜かないというか何というか。

 ……しっかり「モンスターの『王』」と手を組んだ状態だから、倒されると困るんだろうけどさ。「遍く染める異界の僭王」の時のようにどうせ最後は裏切るつもりかも知れないけど。

 だとしても、そこに至るまでに周り中全方向にかける迷惑の規模がな。割と本気で神話ごとBANされないものか。対応する神話関係者とかの兼ね合いがあるとしても、ここで断っておかないと、今後の被害が拡大する一方だと思うんだけど。

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