第1601話 53枚目:イベント完走
それでもなんとか、最終的に更地にした上で捕まえる関係の魔法をびっしりと設置して、かかったところに単体攻撃を集中砲火するという作戦で、ボスモンスターは討伐されたらしい。あの「第二候補」ですら1人では手が足りなかったらしいんだから、どれだけ逃げ回っていたのか。
まぁ「第二候補」が一番嬉しいのは、学習して工夫してこっちに向かって来る相手なので、ひたすらに逃げ回り続ける相手だとちょっとテンションが上がり切らなかったのかもしれないが。
とりあえず、南北の大陸でどちらもイベントダンジョンの一番奥にいるボスモンスターを討伐する事には成功した訳だ。もちろんそこから新しい「進行ポイント」が出るとかいう事もなく、これで一応、最奥で間違いない。……筈、なのだが。
「なんで何も変化が起きないんでしょうね」
「まーたなんかややこしい条件がある気がするぞー? 例えばあの後ろのステージに戻される空間とかな!」
「もしくは空間の歪みの削り方が足りなかったでしょうか」
「こんだけ削っといてそりゃないと……思いたいけど有り得るな! もう一戦行くか!」
「司令部の判断次第ですが、準備はしておきましょう。エルル、行けますか?」
「一応出来なくはないが、あれをまだやるのか……」
28日の午前中にこのラストスパートをかけて、ここまででログイン時間は7時間ぐらい。もう一戦するにはちょっと厳しいかも知れないが、ここから時間を調節して昼頃に、とかいうなら出来るだろう。
フリアド世界では真夜中になってしまうが、まぁそれぐらいで戦闘力が落ちる
エルルはちょっと引いているようだが、それでも準備に動いてくれたので良し。もちろん司令部も、特にあの扉の空間(仮称)を調べているだろう。どう考えてもあそこが怪しいからな。
「今日中に決着がついても誰も文句は言わないと思うんですよ」
「それな! つーか来月のこと考えると今でももう既に遅いだろ!」
「遅いんですよね。内容にもよるんですが」
「少なくともレイドがある時点で準備が足りないって!」
もちろんボスモンスターを倒した後のステージも調べてるだろうし、なんなら改めて端から端まで更地にしたりしてるかも知れないんだけどな。御使族の人にお願いして、神々にお伺いしたりもしているだろう。
ボスを倒したんならそれでクリア扱いにしてもいいと思うんだよなー。来月イベントに続けるからなのかは知らないが、どうしてそこでひねりを加えてしまうのか。いつもの事だけど。
で、結局どうするのが正解だったかと言うと。
「ボスモンスターを倒した上でその功労者は最奥のステージで待機、かつ空間の歪みを一定以下に減らした状態を維持しつつ、あの扉の空間(仮称)で領域スキルを展開して空間を壊すと、そこでようやく「導きのタブレット」に反応があったと」
「ややこしいね?」
「しかも反応があったところからサブクエストが派生して、かなり複雑なパズル染みた手順を踏む必要があったそうです。失敗すれば空間を追い出され、成功してもモンスターが湧いてくるので撃退が必要だったようですよ」
「それは突破させる気が無いな……いや、無いんだろうが」
「無いのは分かるんですがちょっと自由にやらせすぎなんですよ。仮にも神々の試練の空間内部でこれですからね」
という事らしい。分かるかこんなもん!!
司令部はほんとよく突破したよ。私も主に空間の歪みを削る為にボックス様の奇跡を願うのを頑張ったけど。サーニャとエルルの反応を見ても絶対これはややこしいって。
まぁでも、一応突破に成功して、イベントの目標である「境界線への干渉」は正しく行われた訳だ。つまり、あの陽炎のようなものが開き、その向こうへ行けるって事……なんだが。
「まぁそんな気はしましたけどね。どうせあれも巨大なモンスターという扱いなんでしょうし」
「またか」
「えー、また奥に進んで核を倒さなきゃいけないやつ?」
「とりあえず目の前に見えてる範囲はそうだと思いますよ。流石に聖地の島を囲んでいたもの程年季は入っていないでしょうし、促成栽培もしくは突貫工事でしょうから、多少はマシでしょうけど」
開く筈だった境界線は、規模はそのまま、西の海岸にあったような、横一線かつ分厚く長い、横に繋がった砦、あるいは内部が複雑で十分すぎる火力を持った防壁へと変わった。
そして複合神殿に一番近い場所に、今は閉ざされた巨大な門が据えられている。司令部が開く方法を探しているが、あれはたぶん、年が明けないと開かないんだろう。
御使族の人達がボックス様の「敵を与える」奇跡を願った時、陽炎のようなものが野良ダンジョンに変わったからな。やっぱりこうなったかっていう方が強い。後はまぁ、バックストーリー次第だな。イベントの内容自体は大体もう分かったけど。
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