第1600話 53枚目:イベント終盤
はー、楽しかった。
「なぁ「第三候補」、前にもまして数が多くなかったか今回!?」
「前を直接見ていないので何とも。ただ各種スキルと信仰値は上がってますからね」
「それはそうだな! 動き方を分かってる熟練者ばっかで良かった!」
いやー、監視カメラみたいなものは既に出来てたから、それを応用してテレビ電話みたいなものを作る動きがあったらしいんだ。で、その試運転も兼ねて、マリー達と私の儀式場所を繋いでもらったんだよね。映像的に。
相互で見れるし、歌いながらの踊りだ。だからマリー達と私で歌と動きを合わせる事が出来てさ。疑似的に一緒に踊れたんだよね。楽しかったー。
……だから、モンスターの数が多かったのはそっちのせいもあるんじゃないかなとちょっと思わなくもなかったりする。本来複数人でやる歌と踊りだからな、これ。当然、人数が多い程豪華になる。
「無事あの透明な壁も、奇跡で壊せる強度まで落ちたみたいですし」
「結局壊す必要あるのなー。突入出来たんだからだいじょぶだろうけど?」
「突入は出来たのか」
「そのようですね。その向こうでまた苦戦してるみたいですけど」
「苦戦はしてるんだ。突入して終わりって訳じゃないんだね」
掲示板を見ながら「第四候補」と話していると、エルルとサーニャが戻って来た。まぁ事後処理って言っても感謝祭の儀式を重ねてたから、倒したモンスターの素材は「アイテムチケット」になっている。生存確認と軽く周辺警戒をすれば終わりだ。
後は、まだ体力が戻ってない人は休憩して、元気のある人は「アイテムチケット」を交換しに行ったんだろう。もしくはイベントダンジョンの最終ステージに参戦しに行ったか。
私達はこのまま外で警戒だ。本来は今目の前にある、陽炎のようなものを開く為の干渉だからな。向こうから手を出されて、複合神殿の試練ダンジョンに接続されただけで。
「
「まぁそれはそう。俺だってそーするもん。だからこっちは俺と「第三候補」がいるんだし、北側も「第五候補」と「第一候補」と司令部が固めてるんだろ?」
「逆に、内部からしか干渉できない可能性もありますが、その場合は「第二候補」が居ますからね」
「ちゃんと保険の意味があったんだな」
「それも含めた適材適所です」
「も?」
サーニャが、も? と首を傾げてるが、も、なんだよな。絶対に何とかなる戦力っていう意味も確かにあるんだけど、それ以上に戦闘狂だから……。
さてそのボス戦だが、もう地形ごと攻撃していいというのが広まっているからか、映像はないもののかなり派手な事になっているようだ。
「まぁ、身長ぐらいの高さのトゲがある藪の中で、手乗りサイズで素早く逃げ回るボスモンスターを追い回すなら、まず更地にしますけど」
「そんな事になってるのか……」
「ひっでーよな! しかもやたらと丈夫で生え直すのも早いってさ! どうすんのこれ?」
「波状攻撃するしかないでしょう。たとえボスモンスター自体には単体だけを狙う攻撃しか効果が無いとしても、見えなければどうにもなりませんし」
「あー、範囲攻撃きかない奴なんだね。面倒だなぁ」
これは南側の大陸にあるイベントダンジョンの話だが、北側もほぼ同じ状況のようだ。まぁあちらはわざわざ広域殲滅攻撃をしなくても、片手間に周囲を切り開きながらボスモンスターを追い回せる「第二候補」がいるから大丈夫だろうが。
……懸念があるとすれば、やっぱりまだ1月のイベントのお知らせが来てない事なんだよな。たぶん12月イベントの結果によって内容が変わるとか、そんなところなんだろうけど。
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