第1597話 53枚目:妨害攻略

 司令部の人達が色々調べてくれたところ、999回目のステージは3つまで減っていて、南側の大陸でクリア済みのステージは2つ、北側の大陸でクリア済みのステージは1つらしい。

 イベントダンジョンが複合神殿と同じ2つ、というのはとっくに分かっていた事なのだが、残り2つのクリア済みステージでも「進行ポイント」に見えない壁があるようだ。という事は恐らく、3つのステージを全てクリア済みにしなければいけないんだろう。

 そして、南北の大陸にそれぞれあるイベントダンジョンの、片方だけでイベントを進めるとそれはそれでややこしい事になりかねない。のだが、問題は。


「私達はここから動けないというか、動くと「進行ポイント」が消える可能性がありますからね……。そうすると、またやり直しです」


 実は北側の大陸も、999回目のステージを2つクリアしていたそうだ。なのだが、その片方の功労者である「第二候補」が「中断ポイント」から複合神殿の外に出て未クリアのステージに向かったところ、複合神殿の外に出た時点で「第二候補」が貢献した方のステージから「進行ポイント」が消え、再びボスモンスターが出現したらしい。

 だから司令部の方から、今回のボスモンスター討伐に参加した召喚者プレイヤーは、出来るだけその場に留まって欲しいという全体連絡があった。


「うっかり大人数で倒してしまった弊害がここで出るとは思いませんでしたけど」

「こんな弊害があるとは思わないだろ」

「流石にあれ相手をもう一回はちょっと面倒かな……」


 なので現在、掲示板で他のステージのボスモンスター戦実況を見ながら待機中だ。一緒にボスモンスターを倒したベテラン召喚者プレイヤー達と一緒に。……ここに戦力が集中してるから、他の場所がちょっと苦戦気味らしいんだよな。

 もちろんその間も「進行ポイント」の様子は見ている。サーニャがげんなりしているが、私も出来ればもう戦いたくない。特に何も落とさなかったし。

 なお「第二候補」だが、移動した先のステージでもきっちりとボスモンスターを撃破し、今度はそこに留まっているようだ。大人しくしてくれているようで何より。


「ところでお嬢、何人か出入りしてるが、あれはいいのか?」

「問題はこの「進行ポイント」ですからね。これが消えてボスモンスターが再出現しなければ大丈夫です」

「ボクらも引き上げちゃダメかな」

「私達はどう頑張っても貢献度が大きいですからね。少なくとも私はがっつり倒すのに貢献しましたから、この場を離れると再出現する可能性が高いです」


 ログアウトの為か、それとも他の場所への応援か、何人か「中断ポイント」を使って姿を消しているが、とりあえず今のところは大丈夫そうだ。

 それにステージというかボスモンスターが厄介なのは分かっていたから、時間には余裕を持った状態でボス戦をやっている。なので、住民であるエルルとサーニャは当然として、私もまだログイン時間に余裕はある状態だ。

 ……流石に内部時間とはいえ、ボス戦だけに何時間もかかる、とは、思いたくないんだけどな。このステージのボスモンスターを見る限り、とにかく時間がかかるだろうなっていうのは否定できない。


「あの素早さと大きさと特殊防御に目が行きましたが、あれで結構力も強いようでしたから、罠や壁系魔法で止められるかと言われると難しいでしょうし」

「まぁ一応は試練の鍵だからな……」

「神々の試練にしたってちょっとやり過ぎだし、確かモンスターの影響があってあぁなってるんだよね?」

「状況証拠的にはそうですね。妨害する理由がある、つまり私達がこの先に辿り着いて困るのは、世界的侵略者の方ですから」


 そして逃げる場所も広いし相手が小さいから、見失わないというだけでかなり大変だ。場所を制限しようにもしっかり準備しないと正面からぶち抜かれるだろうし、準備をした場所に追い込めるかどうかは別の問題だからな。

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