第1566話 50枚目:奇跡結果
いやー、やりきった。
「通常モンスが全部特殊個体だった件」
「え? ナニコレ年末の再現?」
「劣化レイドボスだけで何体出たよ……」
「本気出し過ぎ「第三候補」……」
「うわ、探索班から抗議文が」
「じゃあ次は代わってやるって言っとけ」
「殿下の全力すっげ……」
「よく地形変わらなかったな今回」
「変わってる。よく見ろ」
「あー、あの地割れとクレーター……」
「あっちの焼け焦げもだな……」
まぁ前線はこの通りだが、私は全力で歌って踊れて大満足だ。撮影班の人に動画も撮ってもらったし、後でコピー取って保存しとこう。
「この降って湧いた系お嬢、だからあれほど加減しろと……!」
「えー。加減しましたよ?」
「…………あれでか」
流石にエルルも鎧もとい軍服に汚れが見えるが、私はちゃんと加減したぞ?
「だって、本来は感謝を捧げるお祭りの歌と踊りですからね。それ以外の捧げものを一切してませんし」
「「「あっ」」」
「別にいいんですよ? 次は、私が全力で作った箱庭を一緒に捧げても」
「流石にキャパオーバーするから勘弁して「第三候補」!!」
旗槍を両手で持って小首を傾げて、本気も本気の場合はどうするかを口に出すと、ぐったりと伸びていた「第四候補」が跳ね起きてストップをかけてきた。だから加減したって言ってるだろ。
私は別に構わないんだぞ? そもそも【調律領域】はボックス様の進化祝いで変質・特殊進化した領域スキルだ。そんなスキルが、ボックス様に捧げる儀式をしている最中に強化されない訳が無いだろう。
という事は、どうなるかっていうとだな?
「本当に私はやってもいいんですけどね。――【調律領域】の吸収能力を開放してしまえば、1人で殲滅しながら儀式を続けられるでしょうし」
「……控えめに言って見た目が凄惨な事になるから、止めろ」
「だからやってないじゃないですか」
絵面が地獄になるからやらないだけで、効率的には最高だろう。やらないけど。流石にちょっとな。モンスター相手とはいえ、こっちが邪悪扱いされかねない。
ま、最初から【調律領域】の供給能力の方は開放していたし、奇跡を願いながら儀式をしたって扱いになるのか、それとも歌と踊りの効果か、全員にもれなく特殊防御バフがかかったんだからいいじゃないか。
「むしろそれが無かったら途中で押し切られてたから! 雑魚が劣化レイドボスの回復剤になるとかびっくりだよ!!」
「この間見たばかりの行動なので、予想は出来ましたけどね」
「分かってても数が多すぎて、阻止の難易度が高かったけどな」
ちなみに、これだけ大規模な戦闘となれば【解体】を持っている人の分だけでも周囲が大変な事になりそうだが、今回その心配はないようだ。
というのも、何故か倒したモンスターは片端から光の粒となって消えていったらしい。そして
どうやって使うのかと思ったら、ボックス様の神殿に持って行けばいいらしい。そのチケットを捧げるとカタログが貰えて、捧げたチケットの枚数だけアイテムが貰えるんだそうだ。
「それも、いくらあっても困らない重ねられる便利アクセサリがメインとか、本当にボックス様は最高ですね」
「……。今思ったんだが、それってお嬢曰くの「感謝祭」の捧げもの扱いされてたんじゃないのか」
「あー。すげー納得した。いや助かるんだけど。回収とかしてる暇無かったし、誰がどれだけ倒したかとかカウントなんて出来てないから助かるんだけど」
「モンスター素材の方が良かったですか?」
「例によって産廃だからなー。信仰値があの神様に偏るってだけで。ま、今更か! ぶっちゃけアクセサリの方が助かるのは確かだし! 宝石とかも交換できるから正直助かる!」
なら何も問題は無いな。大規模攻撃に巻き込まれて消滅したり、足場が悪くなってミスが増えたりする分だけ絶対量は増えてるんだし、
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