第1559話 50枚目:イベントのお知らせ

 謎の白い板もとい「指針のタブレット」と「導きのタブレット」だが、これはどうやらクエストログを表示する為のものだったらしい。メインクエストではなく、サブクエストというか、住民の人達と交流している召喚者プレイヤーから、ログの閲覧が出来るようになったと歓喜の声が上がっていた。

 過去のログまで遡ってみる事は出来ないらしいが、進行中のクエストが表示されるだけでもだいぶ大きいだろう。あちこちに移動するついでに複数のクエストを受けて、どれをやってどれをやってないのか、というのはだいぶややこしかったらしいし。


「そして「指針のタブレット」はやっぱり「導きのタブレット」の上位互換でしたね」

「……見た目は一緒に見えるが?」

「周囲にあるクエスト……召喚者プレイヤーが参加できる活動や困りごとが表示されるんですよ。例えば今エルルだと……この後集団訓練の予定ですか?」

「そうだが、まさかお嬢」

「参加してみたい気持ちもありますが、お札を作る作業で忙しいので」


 というか、テイム済みの相手からでもクエストって受注できるのか。というかむしろこの基準だと、召喚者プレイヤー側から住民向けのクエストを出すこともできるんじゃないか?

 その辺のデータは今検証班の人達が集めてくれてるだろうし、問題はこれを次のイベントでどう使うのかって話だ。「神々の塗料」だって建材と同じくいくらあっても困らない資材だけど、イベントでも大量に使ったし。


「といっても、私からすればナヴィティリアさんの下位互換でしかないんですよねぇ」

「流石に神の使いをそんな気軽に呼びつけたらダメだろ。……というか、出来るのか?」

「出来ますよ。何なら過去に遡って記録を確認する事も出来るでしょう」


 何せ最高だからな。……2つあるし、どっちかを媒介として憑依的な事が出来ないかな。「第一候補」に聞いてみるか。




 残念ながら御使族関係で忙しいらしい「第一候補」に相談している暇はなく、週末が明けて月曜日となった。例によって2週間のイベント期間は月曜日から始まるらしく、週末が最後に来るらしい。

 流石にレイドボスを連続で持ってくる事は無いだろうし、たぶんスケジュール的な都合ではあるだろうが、追い込みがかけられるって事は追い込む必要があるって事な気配がするな。


「相変わらず、大陸の東側を遮っている蜃気楼みたいなものはそのままですし……海を伝って回りこむ事も出来なかったようですね」

「まぁ次のイベントをちゃんとこなしてからって事っすねー。北国の大陸の氷山型レイドボスだってそうだったっすし」

『その次の大陸もでしたわね。……それにしても、どんどん膝を占拠する面積が増えていませんこと? ここはわたくしの特等席でしてよ!』

「ルイシャンだって成長していますし、第一マリー自身も成長して大きくなっているんですからね。既に中型猫の中でも大きいサイズになってるじゃないですか」


 相変わらずマリーはルイシャン相手に私の膝の上を争っている(争いになっていない)が、それはともかく。例によって届いたイベントのお知らせを確認だ。

 メインではなくサブ、住民とのかかわりを強める事に重きを置いたクエストの進行が便利になるアイテムが召喚者プレイヤー全員に配られた訳だが、これをどう使うのかと言われると、やっぱりサブクエストを進める事になるらしい。

 で、それが最終的に、最前線である南北の大陸、その東側を切り取るように存在している、蜃気楼のようなものを突破する事になるらしいのだが……とりあえず、バックストーリーを確認してみよう。



 成長し続ける亜空間とその影響を退け、聖地を取り戻した。その快挙に対して神々は、まず安堵の息を吐くとともに召喚者とその仲間の活躍を寿ぎ、慶び、祝杯を挙げた。

 しかし、長らくの間神々の世界とも切り離されていたせいか、取り戻した聖地は大きくその力を減じていた。それはそこに住む住民も同様であり、まずはそこを立て直す必要がある、と、神々は悟る。

 よって神々は集まりを開き、話し合い、直接影響力に関わる部分であるが故に時々争いになりつつも相談して、そこで知恵を出し合い、所々神々同士の約定に触れつつ練り上げた対策を、託宣として下すのだった――――。



 ……まぁつまり、だ。


「神々の力、大回復チャンス、という事ですね。信仰系サブイベントがたくさん出現するので、それを片っ端から解決しろと」

「捧げものとかめっちゃ要求されそうっすねー」

『特殊あるいは例外となる試練もぐっと増えそうですわね』


 ここにきて、また信仰による競争要素が復活するらしい。いい加減にしてくれないかな。そんなことしてる場合じゃないだろって何回言ったことか。

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