第1554話 49枚目:解決と疑問
「マナの花(無垢)」の花と種に関しては、ちょうどルージュとルールが特殊な試練を受けているので、それが終わって迎えに行くときに納品、もとい譲渡する事になった。流石にそこまで切迫していてお礼は受け取れんよ。
そもそも、まだ正式に来訪していい状態になって無いにもかかわらず、先行して特殊な試練を受けさせてもらってるんだし。そもそも先に借りを作ったのはこちらなのだから、それを消化する形にしてもらった方がありがたい。
まぁ「マナの花(無垢)」の栽培方法は別だけどな。これはもうちょっと条件を詰めてから
「はは、これはこれは。齢14で【成体】と聞いた時は驚いたが、なるほど納得だ」
「お褒め頂きありがとうございます」
まぁ実際、中身は大学生だからな……一応これでも。あれか。異世界転生で前世の記憶を持っている分だけ天才扱いされるっていうのはこういう事か。あーうん、なるほどなー。
ちゃんと皇女教育も(詰め込みだが)受けたし、外面だけを維持するならそうも見えるか。そう見えるようにしてるもんな。ズルをしている感がひしひしとするが、それを出す訳にはいかないし。
しかし無事に済んで良かった。先に接触していた「第一候補」からざっくり話は伝わっていただろうけど。あと本題が完全に予想外なところだったけど。という訳で、もうちょっと雑談してからお別れの時間だ。
「今回は、聡明な末姫殿と縁を結べて良かった。正式な婚姻式を挙げる時は、ぜひ声を掛けてほしい。婚約者殿にもよろしく」
「、えぇ、勿体ないお言葉です」
で、その最後にこんな言葉がくっついてきた訳だが……うん。たぶん動揺は隠せた、よな? たぶん。
えー。婚姻式って結婚式の事だよな? なんでその話題が出る? というか婚約者殿って誰の事だ。え? 私婚約者いたっけ? そんな話題出てこなかったよな? 少なくとも記憶にはないぞ?
皇女ムーブを維持したまま神殿を辞して、行きと同じ馬車に送られて聖地の島から出る。ここでやっとエルルとサーニャに合流だ。
「無事に済んだか?」
「すみました。ちょっと想定外ではありましたが、問題はありません」
「ほんと? そんなに無茶な事は言われないだろうけど、大丈夫だった?」
「大丈夫です。頼み事はありましたが、手持ちで対応できる範囲ですし」
具体的な内容には触れずに説明して、皇族用の高速馬車で橋梁都市(南側)に戻る。そこからは転移でクランホームへ帰還だ。はー、やっぱり家が一番落ち着くな。
しかし。
「えーと、ニーアさんいます?」
「はいはーい! お呼びでしょうか末姫様!」
「ちょっと聞きたいというか、確認したい事があるんですが……」
流石にちょっと気になりすぎるので、一応確認だ。主に婚約者について。皇女教育には含まれてなかったんだが……もしかして抜け落ちてないか? と。
いやだって、いくら特例で最低限と言っても、皇女の結婚だぞ? それが含まれてないとか、有り得るか? その後の神への報告でも、冠を貰ったことについてはエルルとサーニャが揃って「常識だ」って驚いてたし。
「婚約者について、ですか?」
「はい。そういうのって
「特には何も! それに末姫様は皇女としての公務はほとんど免除されていますし、その後も侵略者に対する働きで上げた功績が順調に積み上げられていますので!」
「……つまり、私の意思1つでどうしても良い、と」
「そうなりますね!」
んー、聞きたいのはそうじゃなかったんだがまぁ聞いておいて損は無い。つまり誰かに結婚を勧められても、私が嫌だったら断れるって事だ。そして今の所、私にそのつもりは一切ないしな。
だからこそ正体不明かつ「居る前提」みたいな口ぶりだった婚約者について確認しておきたいんだが。
「ところで、ニーアさん」
「なんでしょう!」
「今更になるかも知れないんですが、竜族における婚約者の定義って一体どういうものなんです?」
「…………。ご説明しませんでしたか?」
「とりあえず記憶にある範囲では聞いてないですね……」
「それは失礼いたしました! えーとですね、まず婚約というものの説明から致しましょうか!?」
「結婚する予定の2人が結ぶ契約ですよね?」
「まぁ大体合っています! あれ? でもそれだけですよ? あぁ、人間種族の貴族と違って、家の繋がりを強めるという意味は薄いですね!」
うーんこの。微妙に聞きたい事が噛み合わない感じ。
カバーさん助けて! ちょっと私だと何が分かってないのか伝えられない!
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