第1518話 49枚目:合流
という訳でログイン。どうやら脱出する為の儀式場は最初の儀式場の近くに建設されるらしいが、私はここまで同様灯りの奇跡と湧き水の奇跡を願って待つようにと言われていた。お迎えが向こうから来るらしい。
自分で移動も出来るが、まぁ迎えに来てもらった方が確実ではあるか。それに壁系魔法ポンプもあって、現在の水位はほぼゼロだ。相殺が止まったら向こうが反撃してくるかも知れないし。
なのでまず灯りの奇跡を願い、儀式場を移動して湧き水の奇跡を願う。まぁ同じ部屋の中かつ隣同士なんだけど。一応壁系魔法も設置しておくか。水位がある程度上がらないと船は使えないだろうし。
「あ、ちぃ姫めっけ」
「あれ? ナニコレ壁魔法?」
「ちぃ姫これ解除してー。入れんー」
「奇跡が一区切りするまでちょっと待ってください」
迎えに来てもらったら、儀式場の最終片付けをして移動。何気にこの閉じ込め空間(仮称)ではあんまり船に乗ってないな。自分で壁を蹴って走った方が早いから。
まぁでも御使族の人達もいる手前、あんまりアクティブに動きまくるのも良くないだろうし。実際ムルデさんの見える範囲だけでは、探索に出発する
種族特性と、旗槍を持った状態で領域スキルを展開している事ですいすい船は進む。うん。時々壁にぶつかりそうになるのはまぁ仕方ない。時々私も方向転換を手伝ったけど問題は無かった。
「この部屋まで水位が足りて良かったですね」
「普通は足りんけどな……」
「ちぃ姫思ったより遠くにいてびびった」
「水の流れなかったら見つけるの無理じゃね、あれ」
「地図も完全に範囲外だしなぁ」
それはまぁ、探索の事を考えると出来るだけ遠い方が良かったし。無事に合流できたのだから問題は無い。たぶん。
で、その脱出の為に同期させる儀式場の部屋に到着したのだが。
「やっと来たかお嬢」
「おや、エルル。引き込まれたんですか?」
「いつまで経ってもそれが無いから、空間破って乗り込んだ」
「……はい?」
そこにエルルがいた。のはいいとして、何て? え、空間に干渉できるようになったの?
と思って聞いてみたら、なんかマップリセットの直前に大技を叩き込んで、その亀裂に飛び込んだらしい。何をやってるんだ。しかも大技を叩き込むのとほぼ同時に飛び込まなきゃいけないとか。
「危ないのでもうやらないで下さい」
「お嬢がそれを言うか?」
それを言われるとぐうの音も出ないんだが……。
と、思いつつ、目を逸らしていた気配へと意識を戻す。そう、距離感覚がバグってる御使族ことムルデさんだ。何か静かだなというか、流石に真面目にやってるのかなと思ったんだが、視線は感じるんだよな。だからこっちを見ている。
が、何かその視線が……生温いというか微笑ましいというか、なんだあれ、という感じで。それも私じゃなくて、たぶんこれエルルに向けられてるんだよな。うん?
「(流石にエルルの方が好みって訳じゃないだろうしな……?)」
「お嬢?」
「脱出用の儀式場の建築は順調そうですね。それなりに水位がありますから、邪魔になっているのではと思いましたが」
「……。水も熱も神の奇跡によるものだからな。むしろやりやすいと聞いてるが」
「それなら良かった」
あまりにあからさま過ぎて、私を迎えに来てくれた
とはいえ、エルルに聞いても答えてくれないだろうしなぁ。私の前ではいつも通りって事は、私には知られたくない事なんだろうし。かといって、ムルデさんに聞くのもちょっと。
…………まぁ流石に悪い事ではないだろうし、
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