第1519話 49枚目:再加速
無事に儀式場は完成し、同期も上手くいったので脱出することが出来た。久しぶりの通常空間だ。なお、戻ってから改めて怒られた。今回悪いのは全面的にあの閉じ込め空間(仮称)の仕様だと思うんだけど。
ともかく、脱出の方法が分かったのなら楽勝、とまでは行かないが、こっちのペースで進める事が出来る。もっといえば攻略を加速させることが出来る。
「どう頑張っても盛大に燃やすことになりますから、相性があるのは仕方ありませんね」
『ざっくりあらましは聞いているであるが、巡り合わせとタイミングは大事であるな……』
という事で、私と「第一候補」が一緒に動くことになった。まぁ私は大体常に両手が塞がっているので、正しくは私と、『巡礼者の集い』の人達と「第一候補」の組み合わせがセットとなる。
必ず全員が一緒に突入出来る訳ではないので、必要な人数が揃うまではマップリセットを繰り返す必要がある。要救助者である、真っ黒いスライムの姿になっている筈の御使族の人達も探さないといけないので、それだけでは手が足りないし。
なので、私は基本的に生きた部品の機構がある空間を焼いて、その後引き込まれたら空間を塗り潰す真っ黒い何かも焼いて、脱出用と、灯りの奇跡用と、湧き水の奇跡用で儀式場を3つ作った後は温水を流しまくるのが基本行動だ。
「それはいいんですけど、大丈夫です? 御使族の方々、溺れません?」
『少なくとも、発見時はあの変わり果てた姿であるからな。水そのものが奇跡によるものであるし、とりあえずは大丈夫であろう』
変わり果てた姿。まぁそれはそうなんだけど。
ちなみに閉じ込め空間(仮称)の中で無理に完治させる必要は無く、正気と本来の姿を取り戻した御使族が別にいるなら、一緒に脱出するだけでも大丈夫なようだ。治療は通常空間でも出来るし。
ちょっと不思議……ではないな。納得しかないが、エルルとサーニャの不機嫌ポイントとしては、私はほぼ確実に引き込まれるのに、2人は一切引き込まれないって事だろうか。
「納得いかなーい! 何で姫さんだけが攫われるのさ!?」
「そりゃ竜族の希少種族の『勇者』とか、絶対近寄ってほしくないでしょう」
「それでいくとお嬢がほぼ必ず攫われるのはなんでだ?」
「さぁ?」
私の場合、攻略が加速するからこっちの神々に押し込まれてるって可能性もあるんだよな。もしくは運営がこっそり確率を上げてる。
なお司令部による引き込まれ条件(推測)によれば、まず
ただし護衛の人より探索や調査、儀式をする人の方が引き込まれやすいらしいので、直接戦闘力がある、あるいは戦闘に慣れている人は引き込まれる確率が下がる傾向にあるようだ。
「まぁ護衛と護衛対象だったら、護衛対象を狙いますよねぇ……」
と、いう独り言は引き込まれ空間(仮称)の中でだ。だって「してやられた」事になる2人が絶対へこむじゃないか。流石に相手と手段が悪いと思うのだが、その上で自分の責任を感じるタイプだし。
この私が、儀式をしている上で空間属性の魔法で自分の身を守っても引き込まれたんだから、これは防ぐのは無理だって。何なら私と手を繋いでても無理だと思うし。
「直接殴れるようになったら、こちら側の最高火力が容赦なく叩きこまれることになりそうですね」
もちろん仕掛けはあるだろうし、何なら特定属性でないとダメージは通らないとかもあるだろうが、正体さえ分かればいくらでも殴りようはあるからなぁ。司令部というか、検証班と観測班が優秀だから。
……ま、時間がない以上火力を出し惜しみしてるような余裕は無い。火力不足には絶対ならない、という事自体は良い事なんだから、私が気にする事じゃないか。
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