第1465話 48枚目:イベントのお知らせ

 さてイベント報酬がそんな感じだった訳だが、一方でイベントのお知らせはどんな感じだったか、というと。



 成長し続ける亜空間から通常空間を守りつつ、かつ以前の反省として、自らへの干渉も跳ね除けながら、それでも神々はどうにか、その亜空間の詳細を調べる事に成功した。

 そこで分かったのは、この亜空間は既に1個の生物として見た方が正しく、またその制御を「モンスターの『王』」と呼ばれる存在も放棄しているという事だった。大量の空間の歪みを吸収……捕食した事で、空間の歪み由来の存在に干渉が可能になっている事も。

 神殿への干渉こそ防げるものの、神々の管理外で出現する試練のようなものまでは干渉を防げない。だが干渉するという事は干渉できるという事だ。神々は話し合い、相談し、方針を定め、その結果を召喚者へ、託宣として下すのだった――――。



 こういう感じらしい。

 ……こういう感じなんだってさ。

 あのイベント報酬に、このイベントのお知らせで、ついでに来月は8月だ。


「絶対にどう考えても全世界的に野良ダンジョンからモンスターが湧いてくるって事じゃないですか。あのエンドコンテンツの疑惑が深い底なしのダンジョンも関係するでしょうし、下手をすればあの陽炎のようなものがダンジョン化するとかまであるのでは?」

「どれもありそうだねぇ。だから忙しくなってるんだけどぉ」

「ルディルもこっそりブラッシングに混ざっていいんですよ」

「今休んだら動けなくなりそうだねぇ」


 召喚者プレイヤー側も準備段階から全力になろうってもんだよ。問答無用で世界を巻き込むな! 解決したところぐらいは平穏になっててもいいだろ!?

 ……とは思うのだが、世界中で警戒して動く理由がない=召喚者プレイヤーが最前線に集中するって事で、最前線としてはそれでいいんだが、そうなった事で暗躍が容易になって戦争が起こったって前例があるからな……。

 運営も試行錯誤してるんだろう。たぶん。おそらく。……してると思いたい。それはそれとして、邪神由来のあれこれにはせめてもうちょっと制限をつけてほしいと思わなくもないが。


「ポーションとお札と料理以外の生産スキルも取っておいて良かったですし、可能な限り練習してレベルを上げておいて良かったですね。実際はステータスの暴力で作業時間を圧縮してますけど」

「それでも間に合わないんだからぁ、人気者だねぇ」

「全くですね」


 さて、バックストーリーの時点で相当あれなのだが、一応イベントの内容としては亜空間探索、あの聖地の島を覆っている境界線に溜まっていた力のごった煮、あれを迷宮に変えて探索したのと同じような感じになるらしい。

 前と違うのは、たぶん突入方法だな。推測交じりになるが、野良ダンジョンを突破した先か、あのエンドコンテンツ疑惑の底なしダンジョンをある程度踏破した先からしか行けないんだろう。

 つまり、突入までの消耗が増える。もちろんあの迷宮という名の迷路の時と同じく、塗料と鍵で突入点を作れば出入りは楽になるだろうが、こういうのは初手が一番難易度が高くて重要だからな。


「本当に以前と同じなら、突入する人員を絞って広域破壊から入るんですけど。誰がどこにいるか分からないと、そんな無茶は出来ませんし。その辺りは司令部の采配次第ですね」

「仲間とは言え、耐えたら逆にびっくりだよねぇ」


 エルルとサーニャが相互ならギリギリ耐えられるかな、ってぐらいじゃないか? ……相互だと無理かな。サーニャ相手でエルルなら、か。

 まぁその辺は実際イベントが始まって、突入成功者が出てからの話だ。今こうやって旗を作ってるのも、「第一候補」に言われたって言うのもあるけど、防衛に関する切り札が、攻撃にも使えるかも知れないっていうのがあるからだし。

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