第1447話 47枚目:イベント状況

 準備と情報収集はしっかりしていたので、場所はもう分かっている。真っ暗な昼って事で、正気に戻った“夜天にして闇主”の神から詳しい話が聞けたのは幸いだった。

 エルルの時の事を考えると、妨害が入る可能性は高い。って事で、極秘扱いで厳格に情報は管理されている筈だ。もちろんそれでも仕掛けてきたら、返り討ちにして今度こそ捕まえてやるが。

 ただ、その為にはやっぱりある程度余裕が出来ないといけない。……のだが。


「忙しいにもほどがありませんか」

「思ったより召喚者側の息切れが早いな」


 野良ダンジョンの出現率が、高いんだよな……!

 しかもどれもこれも難易度が高いというか、クリアさせる気があんまり無いというか、「モンスターの『王』」が作ってるものっぽいんだ。という事は(旗持ちを含めたモンスターも合わせて)それなりにリソースは削れてる筈なんだけど。

 これもあの迷宮になった混ぜっぱなしの力を吸収した分だろうか、と思いつつ、1つでも多く野良ダンジョンを攻略している。野良ダンジョンには違いないので、ボックス様とティフォン様達に交互に捧げているから、神々の力も強化されてる筈なんだよな。


「なのに尽きる気配がないという。どれだけ溜め込んでいたんでしょう」

「さぁな。相変わらず東側の空間封鎖も続いてるようだし、当面は無理なんじゃないか?」


 そうなのかも知れないけど、そうだったら困るんだよな。サーニャの進化が出来ないじゃないか。かかる時間は内部時間1日ぐらいって言ったって、私が大陸中を駆け回らずにいたら目立つし。

 お陰で閉所でもそれなりに旗槍を振るえるようになったよ。こんな長物どうやって狭い場所で振るんだと思ったんだけど、意外と慣れればできるもんだ。もちろん、身体アバターのスペック+旗部分が自由自在っていう前提だけど。

 サーニャの助言通り、突く動きはほぼ諦め、斬るというより殴り倒す形で使っている。たまに突く事もあるが、その場合は必ず吹っ飛ぶので、槍に分類されていても実質鈍器なんだよな。


「いや、刃の部分が当たったら切れてるじゃねーっすか」

「見本がエルルやルシルですからね」

「あの2人は武器からして切断特化っすよね? あと突いたら刺さってるっすけど、その勢いで刺さったそばから吹っ飛んでるだけっすよね?」

「刃物を振ってる感が薄いんですよね。重量もありますし」

「先輩に合わせた武器なんすからそりゃそうっすよ。後ろから見てたら十分刃物っすけど」


 実質鈍器なんだよな。(2回目)

 相手のペースがペースなので、土日で加速をかけても大して減った気がしないんだ。スタンピートの頻度も相変わらずで、世界中のどこかしらでほぼ常に防衛戦が発生している状態となっている。

 防衛に関しては旗そのものが広まった事と、「旗を装備して掲げると領域/指揮スキルが強化される」事も一緒に伝わった事で、高位神官の人達や貴族を始めとした代表者な人達が防衛に大きく貢献できるようになったようだ。


「……指揮スキルも強化されるんですか。なるほど」

「まぁ先輩は領域スキルと種族特性が強すぎるっすからね……」

「装備に山盛りついてるんですよね、指揮スキル」


 主にあの、巨大な氷の狼を相手にした時の報酬で。あれからずっと一式揃ってつけてるからな……。

 ……あと、旗の振り方を覚えたら、そっちで指揮スキルを覚えたりしたから、竜都の大陸を出発して大移動してた時より更に周りへの支援バフが強化されてたりする。

 いやー。なんというか。……皆の方が、強化がある状態に慣れる方が早くて、本当に良かったよね。それを割と全力で使わないとついていけないイベントっていうのもどうかとは思うけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る