第1385話 42枚目:攻略加速

 主に蒸発させたり斬り飛ばしたりすることで進行していたレイドボス……“採録にして承継”の神の力によって判明した名前は「囲い抱える飽溶の水母」だった。スライムかと思ったらクラゲだったらしい……だが、ギミックにガイドがつくことで、一気に攻略が加速していた。

 私も特級戦力として、ステータスの暴力を全開にガイドに従った攻撃を叩き込み続けている。もちろん多少はカウンターというか、対応した反撃が来るんだが、それは『可愛いは正義』を含む召喚者プレイヤーの人達が対処してくれた。

 まぁ大体はモンスターの召喚だったり、私がぶった切った一部がモンスター化したりといったものだったから、普通に戦闘だったんだけど。いやーしかし、やるべきことが分かっているのは快適だな。


「まぁその分だけショートカットできる余地もないようですが。やるべき事がはっきりしていてやればやるだけ進む分だけこっちの方がマシでしょうか」

「最終的な工数としては変わらないでしょうし、ショートカットとガイドのどちらが助かるかは個人によるでしょうね! 個人的にはガイドの方が助かりますけど!」


 という会話もあったがともかく。あっという間に現状維持をしていた時の最前線である、空間を割って出てくるスライム触手、いや、クラゲの触手か? の登場まで持って行くことが出来た。

 これはシンプルに、中央にある人間がうずくまったぐらいの核を貫通属性攻撃で撃破すればいいらしいので、さっさと私が大火力の魔法でぶち抜いておく。


「しかし、あのビー玉サイズの核は個別に叩かなくてもいいとは思いませんでした」

「それは確かに! ダメージにならない訳ではないようですが、当たり判定があるというだけでいくらでも回復できるものだとは思いませんでしたね!」


 そういうものだったらしいので、余波に巻き込めればオッケーだ。確かにモンスターを倒すのに全身をもれなく消し飛ばす必要はない。今回の場合、クラゲではあるが実質スライムなので、中心となる核へ致命傷が入れば十分である。

 空間の割れ目はそのまま、ぐにゃりと力を失って垂れ下がった触手を足場にスライムが雪崩れ込んでくるが、これは前衛召喚者プレイヤーの人達が押し留めて後衛召喚者プレイヤーの人達が片っ端から焼き尽くす。私はその合間に数打ちの魔法を撃って、相変わらず発生する水たまりの処理だ。

 で、一定数以上スライムを倒すと今度はドバっと触手が束で出てくるので、まとめて根元から刈り取るように斬撃属性の魔法を叩き込む。斬られた触手はビチビチと跳ね回るが、これは前衛召喚者プレイヤーの人達がトドメを刺していった。


「ところでこれ、工数的にはどれくらいあるんでしょうね?」

「現在確認されている分だとまだまだ終わりそうにありませんね! 大神官さんも神官の方々と連携しているようですので、無限ではない筈ですが!」


 無限だったら色々成立しないんだよなぁ。

 とはいえ、全方向で加速がついて、1つの段階を超えるのに10分もかかっていない。大威力の一撃が必要なやつに至っては詠唱時間のみ1分切りだ。私でそれなのだから、エルルと「第二候補」はもっとテンポ良く進めているだろう。

 まぁ南側が遅れてるっていう訳でもないんだけどね。あちらも「第四候補」がいるし、元々集まっている召喚者プレイヤーの平均レベルが(システム・プレイヤースキルの両方で)高いから、ブーストがかかった時の上り幅が大きいんだ。


「いずれにせよ、今は削るしかない訳ですが……!」

「そうですね! 残り時間も半分となりましたし、頑張っていきましょう!」


 おっと、ログイン時間の残りが6時間を切ったのか。それは確かに頑張るしかないな。事前ギミックより本体の方が時間がかかる、かどうかは分からないとはいえ、厄介さは上がるだろうし。

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