第1213話 41枚目:特殊報酬2
ちょっと考えた結果、「連袂の水晶塊」は飾りボタンの形に加工してもらう事になった。これなら他のアクセサリに組み込んだりして皆付けられるから。「加護の証」をまとめたアクセサリに使ってもいいし。
もちろんクランハウスの宝石鉱山で増やすのは確定だが、その前に【結束】の仕様を確認したくて、ルフィル達にいくつかアクセサリを作ってもらった。スキルレベルは十分な筈だが、効果相応と言うべきか、「確率」というのはそれなりに低いようだ。
結局できたのは2つ。1つは私が付けるとして、もう1つをとりあえずエルルに着けてもらい、司令部にも相談して制限時間が短い(=難易度の低い)空間異常に突入してみた。
「…………は? いや待てお嬢なんだここ!?」
「やっぱりですか。そんな気がしたんですよね、共有可能な能力に加護と祝福があるって時点で」
ら。……念の為検証という事でサーニャも一緒だった筈が、エルルだけが突入出来ていた。そんな気がしたんだよな。ちょっとそんな気がしたんだよ! 流石に住民の仲間無しって条件はきつすぎないかなって!
どうやら通常時空ではエルルを見失った扱いになるらしく、サーニャが割とパニックになっている、というウィスパーが即座にカバーさんから飛んできた。ので、一緒に来ていたソフィーネさんに私とエルルのツーショットを撮ってもらい、メールに添付して送ってもらう。
とりあえず突入した空間異常はさくさく解決して通常時空に戻り、今度はルージュに飾りボタンを着けてもらって別の空間異常に再突入した。
「やっぱり問題なくいけるみたいですね」
「?(・◇・)(ところで、何で私だったんですか?)」
「ルージュが種族や出身世界的に一番遠いからですね。うちの子の中では」
流石に種族と出身世界の壁は分厚いからな。システム的な意味で。
ともかく、ルージュがいけたのだったらうちの子なら誰でも行けるというのが確定した。なお一応カバーさん経由で司令部に確認してもらったところ、水晶クラスター自体は発見されていても、こんな特殊効果は確認されていないとの事。
という事はやっぱり「連袂の水晶塊」が特殊って事なんだろうな。そもそも冠付きの宝石っていう時点でいい加減珍しいんだけど。というか、まとまった量が出てきたのはあの第三陣がスタートした時の亜空間イベントぐらいじゃないだろうか。
「しかし、他にも類似の宝石が見つからないとちょっと厳しいのでは」
「そうですね。しかし、見つかっていれば既に報告が上がっている筈ですので……」
宝石を司る神様を見つけて捧げものしてお願いするとかか? そんなピンポイントな神様いたかな。地属性の神様とか宝石を生み出した逸話を持ってる神様でも近い効果の宝石を作れたりしないだろうか。
まぁ、これぐらいの発想は司令部の人達ならするだろうし、物があると分かれば探しようはあるのだ。とりあえず今、私がやらなきゃいけない事は、と言えば。
「……また私の島が戦場になってるみたいなんですよね……」
「ちぃ姫さんは人気ですからね」
前の時も大概だったけど、ニーアさんや元第7番隊の人達も加わってるから、更に大変な事になってるみたいなんだよな。何故「みたい」っていうかと言えば、私はまだクランハウスに戻らず、砂漠の真ん中の街にとどまっているからだ。
何故かと言えば、あの超難易度な「知恵の輪スペシャル」。あれの組み直し方は、3種類ぐらいありそうだとルイルは言っていた。そして私が持っていた2つの輪を渡して確認してもらったところ、組み直し方は2種類あったんだそうだ。
1つは今も大騒ぎになっている「連袂の水晶塊」。これは輪の形をしたことで貰えたご褒美だ。そしてもう1つは、どうやら25個あったらしいパーツとしての輪を、5×5の板状に組み直す事だったらしく……明らかにこっちの方が組み直しの難易度が高いってことで、「知恵の輪スペシャル」のオリジナルはこっちの組み直し方に使ったんだよ。
[アイテム:共鳴結晶の作成手順書
説明:いずれかの段階で継承が途絶えた知識の本
共鳴結晶と呼ばれる特殊な結晶を作成する方法が書かれている
詳細:アイテム「共鳴結晶」の作成が出来るようになる]
「まさかの答えが来ましたね」
「そうですね。内容を確認してからですが、広めても構いませんか?」
「むしろ広めないとまずいでしょう。……使い方によっては悪用も十分可能でしょうけど」
そういう事なので、私はまずこの「共鳴結晶」というものの作成方法を習得しないといけない。結晶って何なのかって時点で分からないけど、ここは研究者の街でもあるからね。資料には困らないだろうし。
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