第1195話 41枚目:手探りは続く

 情報的には困惑が深まった発見というか出会いだったが、流石“湧水にして脈穴”の神の眷属というべきか、東洋龍の人が水を吸い上げて集める役、精霊さんと同じ枠に入ってくれると、一気に作業効率が上がった。

 まぁそりゃそうだというか、神が生み出し湧き出させた水を適切な流れを作って巡らせるのが眷属となった人達の仕事だったらしい。時には“導岩にして風守”の神の補助を受けつつ水の塊を離れた場所まで運び、雨として降らせることもあったとか。

 あの神様、がっつりと地属性にも関わらず名前に「風守」と入っていたが、それはそういう権能があるかららしかった。なるほど。そういえば初めてあった時も、地と並んで風を守る、って言ってたもんな。そういう意味か。


「まぁ捗るのはいいとして……他にも存外出てくるものですね、眷属の方々が」


 ちなみに最初に復活した眷属さんから聞いたところ、捧げものは土や砂から戻した変えた水、あるいは氷で良いらしい。もちろん、相応の量は必要だが。それでもまぁ、色んな意味で私の血よりも平和だろう。

 むしろ逆に、最初は何で私の血を使ったんだって話なんだが……それはそれで、確実を期すためだったんだろう。たぶん。少なくとも、汎用的な捧げものって意味だとこれ以上はないし。

 まぁともかく、どうやら空も飛べたらしい眷属の人に水を吸い上げてもらえるのでさくさく土を水に戻して変えていく。途中で他の封印状態にある眷属の人が出てくるが、それも大体の場所を教えてもらえるので、最初に捕まってしまった召喚者プレイヤーのような被害者(?)は出ていない。


「しかし、だいぶ深くまで掘った筈ですが、それでもまだ何も変化が無いと来ましたか」


 夜のログイン時間も結構経ってきたから、そろそろ真面目に変化が無いとマズいんだけどな……? と思いながら、石の棒に魔力を込めて土を水に戻して変えていく。土が水になる端から吸い上げられていくのはちょっと面白いな。

 そういえば、今更ながらその役目をしていた精霊さんは、と探すと、どうやら私の頭の上にくっついているようだ。霊獣達と言い属性精達と言い、本当に君達私の頭の上が好きだな? そこに何があるの?

 まぁ引っ込んでないならこの辺はまだ大丈夫なんだろう。何がと言われると困るが、湖跡地には精霊の気配が無い。それはここまで深く掘り進めても同様で、それはつまり精霊に対して害のある何かがあるか、もしくは精霊が連れ去られたって事なんだし。


「そういえば、精霊さんについては眷属の方も「分からない」と言っていましたが」


 手は動かしながら顔を上げて自分の頭の上に意識を向けると、「何?」という感じで水の精霊さんが顔を出してくれた。

 ついでなので、そのまま他の精霊さんがいるかどうか、いるならどこにいるのかを聞いてみる。私の頭の上にしがみついたままの精霊さんはしばらく考える様子を見せ……ぴっ、と、何故か空を指さした。

 ……見上げてみても、そこにはゆったりと舞う眷属さんと水の塊しか見えない。あれじゃなくて? と確認すると、それには首を縦に振る動作が返ってきた。眷属さんと水の塊、ではない。と、いう事は。


「上空……? えっ、これだけ地面に目を向けさせておいて?」


 思わずちょっと素が出てしまったが、もう一度聞いても精霊さんは上を指さしている。……見上げてみても、雲1つないんだよなぁ。きれいな空だ。

 でもここで精霊さんが嘘を言う必要は無い。というか、精霊さんが嘘を吐くことはない。分からなかったら分からないって言ってくれるから。という事は。


『カバーさん、ちょっといいでしょうか』

『はい、何でしょう?』

『湖跡地の上空って誰か調べました? 精霊さん及び眷属の方と一緒に』

『いえ、上空は最初の方に一度調べただけで放置されていますね。調査チームを結成します』


 どこかで立ったフラグを見逃したって事だな。……しかしどこで何のフラグが立ったんだ。相変わらずその辺の兆しというかお知らせというか、そういうのが全くないのは本当どうにかしてほしいんだけど。

 無理か。

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