第1153話 40枚目:イベント開始
残念ながらイベントまでの残り日数では、砂漠の端に辿り着く事は出来なかった。まぁこれはもう仕方ないな。いくらエルルがすごくても限界はあるし、相手は大陸なのだから。
さてイベントが始まった訳だが、メインの形式としては謎の違和感探し、北国の大陸を歩きまわされてダンジョンを探したあれだったようだ。
もちろん同じ場所をたくさんの
「絶対人数が変わりますからね。……その分だけ探索しなければならない範囲が広いって事なんですけど」
「しょーがないっすね。大陸を2つ同時っすもん」
何せボックス様から「護りの加護の小さな盾」と「護る加護の小さな盾」を貰ったおかげで、うちの子全員で動けるからな! もちろん【調律領域】を展開して、刻々と減っていく筈の耐久度も自動回復状態だ。
ちなみに探索する場所が砂漠って事で、皆お揃いの、サイズに余裕があって布地の多い服に着替えている。もちろんその上からマントを重ね、ショールというかターバンもそれぞれに巻き付けて完全防御態勢だ。
いつもが金属鎧で全身を包んでいるルドルは微妙に落ち着かないようだが、後は皆普段から軽装の為、そこまで違和感はないといっていいだろう。
「……エルルとサーニャはマントを足しただけで変わりませんけど」
「形が変わると落ち着かない」
「流石に今から使いこなせるかって言われると自信ないかなー」
「えっ、すっごく調子いいですよ!?」
ニーアさんは着替えたんだから、お揃いにしちゃえばいいのに。ヘルマちゃんとアリカさんの合作だから、【人化】を解いた時に鎧になるのは変わらないんだし。
なお私はまだ素材となる竜合金の量が足りない為、形の変わる防具ではない。流石に全身覆うにはまとまった量がいるからな。頑張って武器を振って壊してはいるんだけど、日々成長してもいるようだから。
モンスターは出現する端から倒していきつつ、いつか報酬で貰った持ち運びできる祭壇で祈って情報を更新していく。オートマップを見てもどこがどこだか分からないっていうのは砂漠だなぁって感じだ。
「方角が分かるだけマシなんでしょうけど。迷ったらとりあえず南西方向に戻ればいい筈ですし」
何せエルルが大活躍で、かなり広い範囲の海岸が見えてる筈だからな。砂漠の中にいる限りは南西方向に進めばいい筈だ。砂漠の端が見えた訳ではないが、少なくとも北に行くよりは安全だろうし。
しかし見た目には何もなくても、祈る事で更新される「何かある度」はイベントページにおける地図の濃淡という形で変化している。その色が濃い方、つまり「何かある度」が高い方へと移動している訳だが、見た目には何の変化もないんだよな。砂漠だ。
これは本当に進んでるのか、と割と本気で疑問に思うが、イベントページの地図とオートマップを見比べる限りは大丈夫なんだよな。ちゃんと進んでるし、「何かある度」は上がっている。
「これ、何があるんでしょうね?」
「少なくともこうやって見える範囲には何もねぇっすね。ちょっと飛んでみるっすか?」
「止めとけ。明らかに不自然な砂嵐が来るぞ」
「エルルさんが止めるって相当っすね?」
確かにエルルが私以外の行動を止めるのは珍しい。……んだが、うん。あの砂嵐は酷かったよね。色んな意味で。フライリーさんだと、比喩ではなくすり下ろされそうだ。もちろん防御は張るだろうが、その上から。
という訳で、イベントページの地図を見ながら、モンスターと戦いつつ進む事しばらく。
「…………」
「どうした、お嬢」
「いえ、その。……たぶん気配というか、手応えというか、そういうものの感じ的に、この近くに何かある筈なんですが……」
「……何もないっすね?」
ちなみにその場でフライリーさんとカバーさんにも祈ってもらったが、結果は変わらず。2人とも北国の大陸で「何かある」時の感覚は掴んでいるので、全員で首を傾げる結果になった。
なので全員一塊のまま、その場所を中心に、ぐるぐると円を描くように移動してより詳しく場所を絞り込むことにした。反応の強い場所というか、より「何かある」感じが強い方へ微修正しながら、少なくとも目に見える範囲では何も変化のない砂漠をうろうろする。
「……場所は絞り込めましたけど、やっぱり何の変化もありませんね?」
「先輩、精霊さんは何か反応ないっすか?」
「あったら顔ぐらい出してくれると思うんですけど……」
「……出てこねぇっすね」
種族特性で、文字通りいつでも全属性の精霊さんと一緒だからな、私。おかげで【○○精霊魔法】における「環境によって威力が上下する」という部分が安定しているんだけど。
しかしエルルもニーアさんもショーナさんも何も反応しないって事は、マジで何だこれ。あるいはここ。流石にイベントページがバグったとは思いたくないが……いつもの情報の出し方下手過ぎ案件か?
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