第1154話 40枚目:砂漠の反応
「……もしかすると、埋まってしまったオアシスかも知れません」
そのイベントページ上では「何かある度」がMAXになっている場所に集まり、しばらく全員で考えていたところ、カバーさんからそんな提案があった。なるほど。埋まっている深さによっては精霊さんも反応しないか。
という事でニーアさんにお願いし、その場所を中心とした小さな竜巻を起こす事で砂地を掘ってもらった。一応誰もいないことを確認した上で、砂は西側へと吹っ飛ばしてもらっている。
小さな砂嵐が発生しているようなものなので大変目立つな。そしてカバーさんが連絡を入れてくれたらしく、その小さな砂嵐を目印に
「思ったよりも砂漠を探索していた
「いえ、実はちぃ姫さんが展開する領域スキルの端を利用していたらしいです」
いつの間に、というか、ちゃっかりしている、というか……。確かに通常の範囲で最大展開していたけども。しかし見慣れた顔が多いな。実力的な意味でも情報的な意味でも、安心は安心なメンバーだ。
ちょっかいをかけてくるモンスターを適当に相手しつつ、深さに応じて半径も大きくなる穴を囲むようにニーアさんの砂堀り作業を見守る事、たぶん半時間ぐらい。
「おっ、と? あ、これはカバーさんが大当たりだったかもしれません」
「うん? あっ、精霊さんが顔出してくれたんすね!?」
実体は無い筈なんだが、見た目はうちの島にいる水精のような姿をした子が、ひょこっと私のターバンとマントの隙間から顔を出した。砂漠に近づいた時点でどこかに引っ込んで全く姿を見なかったんだが、この子が顔を出したって事は、水の気配があるって事だろう。
この時点で既にかなりの
ニーアさんは引き続き動いてもらうが、周囲からの砂を防いで、より広く浅い形に砂をどけてもらう方向だ。
「えっ、水の気配ですか?」
「……まぁ、精霊が顔を出してるって事は、水に関する何かがあるんだろうが……」
とはいえ、感覚の鋭い竜族2人でこれだし、私とサーニャもさっぱり違いが分からないので、不安が無い訳じゃないんだけど。
まぁ私が【調律領域】を展開しているので、魔力切れは考えなくていい。という事で、その場で集まった
どんどん深くなっていく穴の底で、ガチッ、と音がしたのは誰のスコップだったのか。どうやら何かこう、岩盤的な感じで、大きく平たい硬いものが砂に埋もれてるらしい、という事が分かって、その掘り出しに再びニーアさんが呼ばれた。
「何か水場って感じではないですが、この子(水の精霊)が出てきた以上は水に関する何かだと思うんですけど……」
ゴオオオオオ! と、ニーアさんがやっていると知っていなければ速攻で逃げ出している砂の竜巻を、ちょっと離れたところから眺めつつ首を傾げるが、顔を出している水の精霊はずっとその、現在竜巻の中心となっている場所を見つめている。てことは、やっぱり水関係だよなぁ。
どういう事だ? と首を傾げている間にも、ニーアさんが操る竜巻によって大量の砂が外へと放り出されている。つまり穴は深くなって、
「……何か見えてきましたね。しかし、でっかくありません?」
「水場っていうより建物なんじゃないか、あれ」
かも知れない。……いやでも、それにしたってでかくない? と、周囲で見守っている大体の
砂嵐を透かして見る形になるので、大雑把なシルエットしか見えない。だが、建物とするならここに集まった全員ぐらいは余裕で入るだろう大きさであり、その辺にあるものではないのは確かだ。
ただな。そのシルエットが何というか、こう……丸いんだよな。若干縦に長い感じの。
「卵っぽいね?」
「孵ったらどんなデカさだ」
何の遠慮もなくサーニャが口に出してしまったが、そんな感じである。
ま、まぁ、まだシルエットしか見えてないから。そういう形をした別のものである可能性は高い。第一、本当に卵だったら、こんな砂漠で埋まってるなんて一体何の卵だ? って話だし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます