第1143話 39枚目:ミニイベ状況
ごめんて。
「そういえば2人とも、先日のお菓子作りに参加してませんでしたね……」
「混ぜる棒を3本折ってからは近づくなって言われてたヨー」
「いやほらその、ボクは食べる専門だから」
そういやいたわ、料理できないうちの子。もしかして竜族的に料理も「細かい作業」に入るのか? でも私とニーアさんは普通に習得できたし、エルルと元第7番隊の人達も普通に料理は出来てるしな。性格かな。
他の部屋と違って家具(材料)が無限湧きするらしい調理室(ただし扉は鉄格子型)で、とりあえず材料を集め続けていた3人を無事に発見して、その大量の材料で私がお菓子を作って4人でボスに投げつけまくる事でイベントダンジョンはクリア出来た。クリア報酬? お菓子の材料だよ。
ペナルティという扱いだからか特別感のある報酬は出なかったが、それは想定内だ。そして脱出したところで、同じく【料理】スキルを持っていて自力脱出できたらしいうちの子と合流したところで人数が足りない事に気付き、慌てて迎えに行ったんだよな。
「計って混ぜて焼くだけだぞ」
「肉を焼いて芯まで炭にしてから、兄様達に料理は禁止されてるんだよ……」
「どんな火力で焼いたんだ」
「強火で焼くと美味しいって聞いたから、魔法で……」
「なるほど分かった。お前は調理場に近づくな」
「流石にそこまで直球だとボクでも傷つくよエルルリージェ!?」
……純粋に力加減が出来ないルウはともかく、サーニャはそっちか。基本をすっ飛ばして聞きかじりの知識を実行するのはアウト。ステータスの暴力である竜族がそれをやると、起こるのは災害だ。たぶん子供の頃だから大丈夫だったんだろうけど、今は絶対ダメ。
料理できない組には料理できる組がイベントダンジョンから持ち帰った素材で作ったお菓子をたっぷり持たせて、まずは同じクランハウスの他の島を確認する。ルールの管理はもう外れている筈だが、すり抜けてないとは限らないからな。
結果? ……霊獣と属性精達が警戒してないって事ですり抜けて、住民組は皆イベントダンジョンに捕らわれてたよ。ショーナさん経由で研究施設にいた魔族の人達にも手伝ってもらって、結界を張りなおすことになった。
「しかしこの調子では、大陸の方もだいぶ混乱してそうですね……」
「だろうな。まだ姿が見えないって事は、そっちで忙しいからじゃないか?」
「まぁ時間経過で解放されるとはいえ、流石にこれはちょっと本腰を入れて対処しないと厳しそうです」
全くどこがミニイベントだ。がっつりと
一応、イベントページに追加された文章によれば、イベントが終わればイベントダンジョンも消えて、中に捕まっていた人は解放されるとある。が、それで大丈夫な訳が無い。その間の治安維持が出来ないからな。
「いやー、竜都の大陸でお菓子作りの会を開催しておいて良かったですね。流石にこの間中、ずっと家に籠っているのは無理があります」
「あれである程度の量は備蓄があったからな……。それでも持たなかったようだが」
「それでも、被害総数から見ればまだマシだというのが今の混乱っぷりを象徴していますね」
という事だ。どうにかイベントダンジョンの事に触れないように掲示板に上げられている情報を見るに、既に『スターティア』とかではかなり混乱しているらしいな。下手に害意が無い分だけ、土着の神様や精霊達もうっかり通してしまって被害が拡大しているらしい。
イベントや季節の話を出さず、単なる行方不明者の数、という形なら掲示板にも書き込めるようなので、それを参考に見ているが、酷いもんだ。主に外を見回ってる戦力担当の人達が真っ先に「行方不明」になっているから。
「空から降ってきますからね、相手は。……しかし、一体どれほどいる事やら」
「とりあえず、個人だとどうにもできないくらいにはいるだろうな」
予定を大幅に変更して、料理できる組はお菓子を作りまくって、料理できない組に救助に行ってもらうしかないか。簡単に作れるお菓子って何があったっけ。ソフィーナさんがログインしてきたら聞いてみよう。
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