第1122話 39枚目:要検証案件
要特殊手段の可能性があるって事で、あの目がちかちかする球体はさらに後方に下げられたらしい。同時に、あの不協和音が響いている限り探索も戦闘も無理があるって事で、ログイン時間はまだ残っているが、南側の大規模戦闘は終了、という事になった。
その後北側に私を含めた南側の戦力が移動して、「第二候補」が目撃したという水たまり、あるいは水の玉を回収に向かった。こちらは障害物らしい障害物は無かったが、周囲の海まで溶解液状態になっている上、湿地帯のようにぐずぐずになった陸地ではスライムの大群がお出迎えだ。難易度は十分に高い。
それでもなんとかいくつかの目がちかちかする水の玉を回収し、日曜日夜の大規模戦闘は全面終了となった。もちろん場所を移せば大規模戦闘自体は出来ただろうが、私と「第一候補」が揃って前線を下がるのだから、少なくとも同じ規模の戦闘は無理だ。
「今は離れた場所で個別に
『しかし、北側でも起こる現象までほぼ一緒とは思わなんだな。モンスターも影響を受けていた時点で可能性自体はあったであるが、あの不協和音もまたこの正体不明の何かが原因であるか』
「そうなりますね。しかし、本当に何なのやら」
ちなみに、回収方法はバケツだった。流石に手で持つわけにはいかないからね。立派な鎧を身に着けた
ともかく、私と「第一候補」だけではなく、不死族の人達にも見てもらおうって事で、下がった先は竜都の大陸のお城だ。ここが一番色んな意味で安全だし、整理はされていないが資料も一番あるからね。
なお資料に関しては、不死族の人達が来るときに持ってきた分で更に大変な事になってるらしい。
「で、実際不死族の人達に見せて、何か分かったんですか?」
『少なくとも、内容はどうあれ異界の理を元とした力の影響である事と、うかつに触ろうとするとその力の影響をもろに食らうという事であるな』
「実質カウンター罠付きですか……。で、その影響をもろに食らった人は大丈夫だったんです?」
『どちらの場合も、部位欠損を癒し治す祈りで快癒したらしいである。1つ治療法が明らかになったであるな』
「部位欠損扱いなんですか、あれ」
なお「第一候補」はさらっと言ったが、かなり難しいというか、癒しに特化した権能を持つ神様の神官でも高位神官以上の人でないとできない、つまりそれが可能な神様自体が限られるレベルの神官専用技だった筈だ。もちろん普通に受けようと思って受けられる治療ではない。
まぁ、何1つ治療法が分からないよりはいいんだろうけども。なお目がちかちかする謎物体に直接その治療を願ってみたところ、弾かれてしまったんだそうだ。恐らく「モンスターの『王』」の力が強すぎるんだろう、との事。
なので、不死族の人達は現在、まずその「モンスターの『王』」の力を引っぺがし、削り取り、弱める事を目標にしているそうだ。
『ただし、そこまで形が変わっても「生きている」のはその力の影響であろうからな。その辺りは加減しなければならぬが』
「え。それもし要救助対象者だったらダメなのでは?」
『故に、他の島から変異させられた動物を集め、先にそちらで試しているようである』
……完全に実験動物扱いだが、仕方ないか。元々は島ごと吹き飛ばされる予定だったのが、助かる目が出たんだから、元よりはマシな未来になってる筈だし。
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