第1117話 39枚目:攻略進行
相変わらず飛んでくる方の巨大な槍は私を集中攻撃してくるし、その回避はエルルにお任せ状態のままなのだが、司令部及び戦力に余裕があるって事は、私達をフォローする事も出来るって事だ。
海の上から飛んできた攻撃で軌道を狂わされ、空に展開している竜族の人達が可能な範囲で叩き落し、結果としてエルルが避けなければならない槍? の数は大幅に減っていた。だからちょっと余裕がある訳だな。
私の方も、今回は力場的な意味で自分の身は自分で守っている人が多いからか、あるいはボックス様の神器があちこちにあるから相乗効果でも発生しているのか、領域スキル同士の競り合いについての負担は軽くなっている。そう、恐らく不特定多数が身に着けているだろう「護りの加護の小さな盾」の耐久度を回復し続けていても問題ない程度には。
『そろそろ突入するみたいだな』
「え、どこですか?」
『もう少し北だ。空に部隊がいくつか集まってるだろ』
と、エルルが南から北へとターンしながらそんな事を呟いた。どこ? と思いつつ空を探すと、確かに他の場所より【人化】を解いた竜族の人達が集まっている場所がある。
その下に視線を向けると、海は海でどうやら船が集まっているようだ。ピッチングマシンもどきを乗せていない代わりに乗っている人数が多いらしい。なるほど、あれは確かに突入準備だな。
エルルは槍? を避ける為に高速で飛び続けているので、すぐにその突入準備をしている場所は通り過ぎてしまった。旗を掲げるという姿勢は変えられないから、自分の目で確認するのは無理そうだ。
「無事に突入出来て、ついでに痛打を与えてくれるといいんですが……」
『痛打がついでなのか』
「本命は核の場所を特定する事でしょうからね。後は上陸という行動に対する反応の確認でしょう」
『まぁ確かに、集まってたのも召喚者ばっかりだったみたいだしな』
とはいえ、それならそれで掲示板を探せばいい。姿勢は変えずに目線と意識で掲示板を操作するのにも慣れたもんだ。なおどうやって感知しているのかは知らない。開発の偉い人に聞いてほしい。
司令部からの指示が書き込まれる掲示板を少し遡ると、突入に関する部隊編成の指示が見つかった。突入部隊用のスレッドへ誘導するアドレスがくっついていたので、そちらに移動する。
一番上に「関係者以外の書き込みは控えていただくようお願いします」と書いてあったので大人しく読み進めていくと、どうやら上空に集まっていた部隊の人達とも連携が取れているようだ。でないとただでさえ低い突入の成功確率が更に下がるだろうから、まぁ当然だな。
「突破口を開く火力に加えて、その後の観察もお願いされていたようですね」
『そうなのか。こじ開けるだけにしては人数が多いなとは思ったが』
「下手に人間種族が道具を使って観察するより、上空から高いステータスによる視力で見てもらった方が確実ですからね。まぁそれはそれとして、
何せ、突入部隊用のスレッドに、若干視点のずれた複数の動画が、ほぼ同時に上げられ始めたからな。ライブ動画だから、突入部隊の人達が自分視点の動画を上げる事で、司令部への情報提供という形にしてるんだろう。
もちろん途中で閲覧注意状態になる可能性もあるが、貴重な情報源なのは間違いないからな。もっとも、私は動画ばかり見ている訳にもいかないのだが。
「エルル。ちょっと無茶をお願いしてもいいですか」
『内容によるな。なんだ』
「突入によって領域スキル同士の境界線に変化があるか確認しておきたいので、出来れば突入した場所が見える角度と場所に行ってほしいんです」
『……相当に無茶だが必要ではあるか。仕方ない』
「怪我するほど無茶はしなくていいですからね」
『怪我しないようにとなると更に無茶な注文だな』
ここまで戦場は上手くいっていても、砦と平行に伸びる陽炎のようなものに変化はない。つまり、相手の領域スキル相当の能力に変化はないって事だ。もちろん出力の上昇は別とするが。
そして、あの陽炎のようなものは、領域スキルをぶつけている私にしか見えない。後から見返せる動画ではなく、私はこっちを見ておくべきだろう。その為に、エルルに無茶を言ってしまうのはごめんだけど。
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