第1116話 39枚目:攻勢再開
で。リアル日曜日、夜。
「いやー、実に良い戦況です!」
『そりゃ頭数がこれだけ増えればな……』
楽勝、とは流石に言えないが、もう戦線の崩壊は無いだろう、と思える程度に安定して攻め込む事が出来ている戦場を、旗を掲げて全力で領域スキルを展開しながら見下ろしての言葉がこれである。
エルルはちょっと謎の息を吐いているようだが、その通り。この大規模戦闘への参加者の絶対数が、文字通り跳ね上がっているのだ。「第四候補」ではないが数は力なので、相変わらず相手はでかくて呆れるほどの数を吐き出してくるが、対処が出来ている。
なお【調律領域】の回復対象には神器が入っていて、どうやら名前で指定が出来たようなので、「護りの加護の小さな盾」を設定しておいた。どれくらいの人数がボックス様から貰っているのかは分からないが、実に自然回復力が鍛えられる。
『しかし、今回は最初から部隊ごとの判断に任せてるのか』
「
『……召喚者が一般人とか、そっちはどんな世界なんだ……?』
どういう意味だ。とはちょっと思ったがそれはさておき。ブレスの集中砲火によって、内部時間3日で修復されていた長い城のような砦は再びボロボロになっていた。もちろんモンスターの群れは溢れてくるのだが、それは問題なく迎撃できている。
となればやるべきは、この砦全体から均一に展開されている、領域スキルのような能力の仕掛けを調べて突き止める事なのだが。
「戦線が安定していれば司令部にも余力が出来ますからね。投入できる絶対人数が増えたのなら、調査に向いた人を集めてチームを組んでもらう事も出来ますし」
『……そこに何でヘルトがさらっと参加してるんだ。俺は聞いてないぞ』
「本人が「末姫様と兄上のお役に立てるのなら」と希望してくれたらしいですよ?」
なお、カバーさんから聞いた話なのでほぼ原文のままである。この場合の「兄上」がどの兄なのかと言えば、まぁそりゃエルルだな。私とセットで上げられている上に、ヘルトルートさんが一番リスペクトしている兄はエルルだから。
エルルは言語化できない唸り声を零して黙ってしまったが、同族補正によれば心配と頭痛と照れのミックスなので後でヘルトルートさんに伝えておこうと思う。兄弟仲が良いのはいいことだ。
まぁそんな感じなので、調査中の細かいことまでは伝わってこないものの、前回と比べれば飛躍的に情報を集める事が出来ているらしい。情報さえ集まれば、司令部なら仕掛けを見破ってくれるだろう。
「核を潰して弱体化出来る目が出来ればこちらのもの……とは、言いませんけどね。まだあちらの大技は残っていると思うべきですし」
『十分凶悪な手札が出そろってると思うんだが』
「あの砦がゴーレム型に変形して攻撃してくるとか、今はトゲトゲしてるだけの海岸線が鉄条網のような複雑な形になったりするとか、もしくは自爆する事で“歪”めるという能力による影響を積み込んでくるモンスターが現れるとか、そういう可能性も否定は出来ないので」
『お嬢のその推測が既に凶悪極まりないな』
「今までの事を考えると、それぐらいはしてくるかなと……」
『……確かに、否定はできないが……』
領域スキルっぽい能力が強まる、というのは確実にあるだろうし、それを押さえ込むのは特級戦力である私の仕事だからな。司令部もそれは分かっている筈なので、それ以外、という事になる。
モンスターが溢れてくるのに合わせて出力が上がったという事を考えると、むしろそこを押さえ込むのは前提条件ですらあるだろう。もちろん同じ戦場にいる「第四候補」も、あちらはあちらで指揮系スキルや使い魔を駆使して、主に現場での情報共有、戦力のバランスを見ての調整や救援などをしている筈だ。
「全く、忙しいったらないですね。全員に言える事でしょうけど」
『ここまで大規模な戦闘になると、忙しくない奴の方がいないだろ』
つまり、いつもの事だな。
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