第1115話 39枚目:真の万全

[アイテム:護る加護の小さな盾

耐久度:100%

説明:“神秘にして福音”の神から授けられた神器

   耐久度の限り持ち主の仲間をあらゆる悪影響から護る加護が込められている

   他の装備と組み合わせる事が可能

   また、加護を受けた者の魔力によって耐久度を回復させる事が出来る]


 我ながら過去最高の速度と精度で箱庭を作り、皆が持ってる神器への感謝と気付かなかった謝罪とお揃いが欲しいですという心が混ざったまま全力で祈った結果、貰えたのがこれだ。最高なんだけど? 最高過ぎて言葉が出てこない。

 もう。もう、これだからボックス様は。最高が過ぎる。そりゃそうだ。私に自分の身を守る為の神器を与えられても皆とお揃い止まりだし。そもそもそれなら「月燐石のネックレス・幸」がある。


「それ故に私「を」守る為ではなく、私「が」守る為の神器をくれるという。本当にボックス様は最高……!!」


 ちなみに「護りの加護の小さな盾」及び「護る加護の小さな盾」を組紐ミサンガに組み合わせた場合、共通で「状態異常耐性+++」が、「護る加護の小さな盾」の方は、防御・魔防・自然回復力の性能が+1個分追加された。特殊防御の方は耐久度を消費する事もあり、性能というより特殊効果に入る為、システム的な表記にはならないのだろう。

 あと、「加護を受けた者の魔力によって耐久度を回復させる事が出来る」。これが地味に重要。超重要。カバーさんに手伝ってもらって検証したところ、ボックス様の世界の住民であったコトニワ組、ナヴィティリアさんに協力してもらった作成使徒だった使徒生まれ組は全員耐久度の回復が出来た。

 もちろん神器を持っている私も出来たのだが、どうやらボックス様の基準で「加護を受けた者」というのは、「『異空の箱庭』を手に入れた者」という事になるらしい。つまり。


「大概の人は自力で耐久度を回復できる訳ですね。本当に最高なんですから」

「そうですね。そして大神官さん曰く、この神器の耐久度は“神秘にして福音”の神への信仰値に依存して絶対値が増えていくとの事です」

「言葉もないくらいに最高ですね。お礼の捧げものを用意しなければ」

「いやだからやる事が山積みになってるんだからな、お嬢」


 ちなみにボックス様が最高なのはそこにとどまらず、どうやら他の神々からもこういう形のお守りというか、力場的な防御が出来るアイテムは貰えるらしいのだが、例によってどの神との組み合わせでも反発しないようだ。

 どころか、反発するまではいかずともそんなに仲が良くない神話の組み合わせでも、ボックス様の神器である「護りの加護の小さな盾」を間に挟むようにすると、力の衝突による性能の減衰が抑えられるとの事。だから最高なんだよなぁ。

 やはりその最高さに対する感情を捧げものという形で表明するべきでは、と思ってその通りに行動したかったんだが、流石に予定されている大きな動きをスルーする訳にはいかない。特級戦力なので。


「うちの子がフル参戦できる上にボックス様からこんな明らかに私の為に誂えた感じの神器まで頂けたのですから、たかだかでかいだけの障害物程度は攻略して見せなければなりませんねぇ」

「……エルルリージェ。姫さんがものすごくやる気というか殺る気になってるけど、あれは大丈夫なのかい?」

「あの信徒に全力が過ぎる神が関わる事だと大体あんな感じだぞ」


 やる気になる事自体はいい事じゃないか。それに、耐性や戦う場所の関係でどうしても後方支援が主になってたうちの子も皆とってもやる気になってるし。

 住民の仲間の参戦制限が実質解除されたって事で、他の召喚者プレイヤーとその仲間達も絶対やる気になってる筈だ。だから、数だけで言っても戦力の増加は倍どころでは効かないだろう。

 さぁ。――これで、正真正銘の全力が出せるようになった。

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