第1015話 37枚目:節目出現
「……この部屋より一回り大きな部屋があって、巨大な魔法陣から大物の出現が確認されましたかー……」
何故こうも嫌な予感ばかりが当たるのか。解せぬ。それはいらないって言っただろ!
と、文句を言ったところで何かが変わる訳ではない。さっさと対応の方に頭を使おう。うん。つまり例によっていつもの如く、キリの良いところに関門というか問題があったって話だな。
とりあえず出現してしまった大物は4個目の中継拠点であるここで迎撃するとして、問題はその魔法陣と、魔法陣がある部屋だな。
「と言っても、攻略する以外の選択肢は無いですし、そのメンバーもほぼ決まっていますが」
「お嬢」
「限りなく誰にとっても安全かつ確実な手段ですよ?」
まぁ、大物を倒したその足で、私とエルルがいくのがベストだよねって事になった。そりゃそうだ。現状での最大火力だし。エルルだけでも行けなくはないだろうが、私がついていった方が確実だし。
例によって私が最前線に行くって事で、ぐぬ……となっていたエルルだが、流石に慣れてくれたのは、僅かに眉間にしわを刻む程度で流してくれた。
「問題があるとすれば、その部屋には通路が4つあるって事ですよね?」
「そうですね。出現を確認した
「……そうか。回り込んで挟撃されたりする可能性がある訳だな」
「もちろん周囲の
後は単純に、大物自体はともかく、周りの雑魚が無限湧き状態になってると厄介だ。普通にキリがないし、今のところ確認されてはいないが、大物の回復やバフ要員になってたりしたら難易度が何段階か上がる。
大物が出現した魔法陣、というのも何とかしなければならない対象だが、それは司令部にお任せするしかないな。単純に攻撃したら壊せるものかどうかも分からないし、解除に手順が必要、とかになるとお手上げだ。
その為にも実際に行ってみなければいけない訳だよ。魔法陣のある部屋にいる場合だけ使える特殊能力とかがある、なんて可能性も否定はできないんだから。
「だから、なんでそう楽しそうに前へ出ようとするんだ」
「ちゃんとエルルの後ろには下がってますよ?」
「そうじゃない」
何故かと言われれば、まぁ当然
幸いというべきか、大物自体に特殊能力が増えていたりはしなかった。ただ中継拠点に来た時より、明らかに一回りか二回りデカかったけど。
カバーさんというか検証班によれば、モンスターの大量召還をまずやって、サイズを多少縮めてから通路に向かうという行動パターンだったんじゃないだろうか、との事。……なるほど。モンスター召喚って大物自身がリソースだったのか。
なお魔法陣を調べたところ、やっぱり攻撃を吸収してモンスターを召喚するという仕掛けがあったらしい。迂闊に殴らなくてよかった。
「しかし、解除の為に近くにいるだけでこっちのリソースを削ってくるとは、本当に細かいところまで面倒な相手ですね」
「それを奪い返して供給しなおしてるお嬢もどうなんだって話だと思うが?」
私はやれる事をやってるだけだよ。……いやぁ、リソースの蓄積能力があるなら、魔法陣も【調律領域】の吸収対象に出来るとは思わなかったな。本来なら体力や魔力を吸われて調査が遅れる上にちょくちょく大物が出現する予定だったのだろう。ありがとうボックス様。
という訳で、解析作業は大変捗っているらしい。どうやら魔法陣を置いてあるだけあって、あちらの楔的な場所でもあるみたいなんだってさ。上手く使えば、今までとは逆にあっちへのデバフをかけられる拠点になるかもしれない、という話が出ている。
「単なる
「……そうか。もう1つあったな」
もう1つあるんだよな。たぶん同じ感じのやつが。
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