第1014話 37枚目:順調な探索

 とりあえず土曜日をしのぎ切ったところで、予想通り1個目の中継拠点を転移地点として登録する事が出来るようになった(その設定に必要な儀式は「第一候補」がやってくれた)ので、主に応援となる戦力の移動がだいぶ楽になった。

 なので日曜日に入ってからの迎撃はスムーズに行ったのだが、日曜日の朝の時点で、2個目の中継拠点の安定状態は1個目の半分以下だったんだそうだ。この分だと、1個目と同じように転移地点にする事は難しいとの事。


「まぁ普通に考えて、進み方が足りないんでしょうね」

「そういうもんなのか?」

「今までの事を考えると恐らく」


 なので、元々の本命である探索を進める形になるようだ。まぁ、私はエルルと一緒に資材を運びながら、大物への警戒をしているんだけど。ルウとニーアさんは私と同じパーティに入っていないと特殊耐性がつかないので、一緒に移動しつつそれぞれ周辺の気配探知や拠点構築のお手伝いだ。

 私は種族特性もあるし、レベル上げもかねて【調律領域】と【王権領域】も展開できるところでは展開しているから、拠点にいると構築速度がぐっと上がるらしいんだ。お役に立ててるなら何より。

 しかし召喚者プレイヤーの絶対数が多いからか、カバーさん経由で見せてもらえる地図の埋まり方が速いな。主に横方向が。


「最初に頑張って中継拠点を作っておいた成果は出ましたかね」

「そうですね。……それでもまだ端が確認されていないようなので、想定内の動きではあるようですが」

「流石に広すぎません?」


 なお、難易度。通路が広すぎて遠吠えによるエコー探査もほぼ効果が無くて、技能持ちの人が涙目になってたらしい。普段は大活躍なんだろう。

 とりあえず、日曜日の大物をしのぎ切ったら私とエルルも最前線の探索に戻って、2個目の中継拠点を転移地点に出来ないか確認する事になっている。いくらお盆休みとはいえ、月曜日まで大物は出現しないだろう、という予想だからだ。流氷の時もそうだったし。


「……アクティブな召喚者プレイヤーの数で出現数が決まってる可能性もありますが、まぁ、その時は撃退を頑張るしかありませんし」

「エルルさん抜きでも撃退できればそれがベストですからね。もう少し拠点の耐久度低下速度が下がるか、デバフの軽減性能が上がれば撃退も出来そうなのですが」

「そのためには探索が必要なんですよね」


 そういう事なんだよな。戦力の割り振りが大変だ。

 とはいえ、お盆休みに突入した最初の土日って事で、召喚者プレイヤーの動きと人数は上々だ。今のところ妨害もないって話だし、警戒はしているが、進捗としてはかなり良い。

 土曜日は大物の襲撃とそれに対抗する動きで探索に手をかけられず、5つ目の中継拠点候補地はまだ見つかっていない。だが、遅くとも今日中には見つかる予定だ。今までと同じ距離感の場所にあるのなら。


「流石にその辺、奥に行くほど距離が離れるとかいう話は、今のところないんですよね?」

「今のところは大体同じ距離にありますね。なので、その距離の辺りを重点的に探索してもらっています」


 なお、4個目までの中継拠点候補地は大体等距離だった。だからここでパターンが変わったりしない限りは、その辺りに次の候補地がある筈だ。重点的に探す方向で何も間違っていない。


「……まぁ、タイミングというか数的に、何かあるとすればここですが」


 5個目だからな。キリが良いと言えば良いから。広い場所だから、大規模戦闘を起こすのに向いてるんだよな。それにこっちに都合が良い=神々からの干渉って事なので、集中して狙ったりせめぎあいの結果妙な事になってる可能性もあるし。

 と、嫌な予想はいくらでもできるが、そういう事にはなってないに限る。本当に。なってたとしても、5じゃなくて10の倍数まで待ってくれないかな。

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