第1007話 36枚目:イベント推測
どうやらガ……「手の平宝箱」から出てくる生き物の詰め合わせには、1割程度の確率で危険生物、あの「修羅鳥」のようなやつが紛れ込んでいるらしい。
という割とどうでも良い情報を確認しながら納品の為にアイテムを箱詰めしていると、ふとこのイベントに対する妙な既視感の正体に気が付いた。
「これ、ボックス様の試練をカスタマイズする為の箱庭を作ってる時と同じ感覚なのでは?」
モンスターの種類と数とレベルと、地形やらなんやらも含めて素材を選んでる時の感覚に近いんだ。それだ。なるほどー、と自己完結してすっきりしたところで、来月のイベントの概要も察した。
「……という事はつまり、あの空間異常がそのままダンジョンになる、という感じの……?」
……移動時間の悪夢再び、だろうか。どう考えても深いダンジョンになるだろうし。この間のイベントは連続挑戦、という特殊な形をとっていたとはいえ、ショートカットの作成も
という事は今回もそういう可能性が高いわけで……割と本気でルイシャンに乗せてもらおうか。でも私だけ先行してもあんまり意味はないしなぁ。
とりあえずその予想と、移動手段の開発進捗どうですかという感じの疑問をカバーさんにメールで送っておく。何か対策した状態ならいいんだけどな。
「単なる攻略、には、まぁまずならないでしょうしねぇ……」
今までの8月イベントを思い出せば分かるが、やる事が加速度的に増えてるんだよな。確かに
そこまでのボリュームは求めてないというか、割と本気で限界ってものがあるから勘弁してほしい。そもそも現在の最前線、「モンスターの『王』」が2体同時相手なんだし。竜族という抑止力が参戦したとはいえ、それで十分だよ。
……でもなんか仕掛けるんだろうな。と、半分以上諦めの境地で箱詰めが終わった納品用の箱をインベントリにしまう。さて、納品してこよう。
で、7月も前半が終了したところで、ちょっとした変化があった。平日昼間の一番接続数が少ない時間に短いメンテナンスが入っていて、そこでちょっとしたアップデートがあったようだ。
その内容はというと、主に乗り物関係らしい。というのも、テイム状態にある動物の内、騎乗に適性のある種族は、テイムしている
なお、
「という訳で、私の「乗り物枠」は4つある訳ですが……とりあえずルイシャンは入れるとして、あと3枠です」
「先輩と一緒に移動するいつものメンバーなら、大体全員乗れるっすね。ソフィーさん達もそれぞれ移動手段としてのテイム相手がいるっぽいっすけど」
ちなみにうちの子で騎乗適正があるのは、ルイシャンと霊獣の内大型の子、そして大型動物の姿をしている雪像の子。……個人的に驚いたのは、ルウに騎乗適正があるって事だ。マジで?
カバーさんに聞いたところ、どうやら「非常に大型」の「魚類」かつ「人のいう事をよく聞く」上に「十分な筋力がある」から、騎乗可能判定になっているのでは、という事だった。なるほど。
「普通に戦力としてルウを連れて行きましょう」
「あの物理打撃火力はヤベーっすもんね……つか、今わかってる範囲では最強じゃないっすか?」
「極振りって強いですよね」
……実装されたタイミングを見るに、運営が想定していた本来の用途とは大幅にずれてるが、まぁいいとしよう。
なお、基本的に竜族に騎乗適正は無い。何故って? 大型過ぎるからだよ。普段も「騎乗」じゃなくて「運搬」されてるし。
そしてこれも基本的に、なので、小柄な、それこそ一般人間種族だと楽々またげるぐらいのサイズの竜族がいれば、騎乗適正あり、とみなされる。
「……1枠はニーアさんですかね」
「えっ。あの人騎乗適正あるんすか」
「【人化】を解除した時の大きさを考えると、たぶん……」
ちょっと小柄に過ぎるような気もするが、まぁルイシャンが大丈夫なら大丈夫だろう。という事で、あと1枠。
うちの子で、と考えるとここでネタ切れになる訳だが……ルウは水中以外で【人化】を解くと死んでしまうから、「乗り物枠」であっても乗れないんだよな。
というか、ルウ本人の移動速度に難がある。だからルウに乗ってもらう為に、霊獣の子達の中から水属性寄りの子を連れて行こうか。
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