第984話 35枚目:イベントのお知らせ

 どうやらあの「封印の小箱」は出現確率がかなり高い、というか、1個目は確定で出てくるものだったようだ。大きさは10㎝四方の小さなものから、50㎝四方の高さ30㎝とかなり大きなものまで様々らしい。

 私が最初に手に入れた大きさが標準らしく、出現数は一番多かったようだ。なお宝箱から出てきたのは大半が「封印の小箱」であり、それ以外はレア枠と言っていい確率だったらしい。


[アイテム:封印の杖

装備:杖(攻撃+・魔攻+)

耐久度:100%

説明:振ると使用者が目視で狙いを定めた対象を「封印」状態にする杖

   杖としての性能は弱い

   「封印」状態にする対象によっては耐久度が減る]


[アイテム:封印の宝珠

耐久度:100%

説明:ぶつけた物を内部に「封印」する不思議な宝珠

   「封印」状態を継続する事で耐久度が減っていく

   空の状態で魔力を注ぐ事で耐久度の回復が可能]


[アイテム:封印の槍

装備:両手槍(攻撃+・防御+)

耐久度:100%

説明:魔力を込めて石突きで触れた対象を「封印」状態にする槍

   槍としての性能は弱い

   「封印」状態にする対象によっては耐久度が減る]


 なお、私が引いた「封印の小箱」以外のアイテムはこんな感じだった。コピペ感が強いが、どうやら検証班によれば、アクセサリを除く全ての武器種が揃っていたらしい。……槍はサーニャに任せようかな。

 ちなみに一番数が少なかったのが「封印の宝珠」だそうだ。まぁ私も1個しか引いてないしな。それにたぶんだが、これが一番「封印」という状態の強度が高い気がする。

 で、あからさまに次のイベントで必要になるアイテムが来て、それがことごとく「封印」という手段を使えるようにする為のものな訳だが、その次のイベントは、というと。


「……。本当に便利に使えますね、空間の歪みっていうのは」

「そうっすね……いやまぁ前から薄々は思ってましたけど」


 報酬でもらった封印シリーズの内訳をカバーさんにメールして、フライリーさんがログインして宝箱を開けるのを待ち、イベントのお知らせの確認だ。今日はマリーの方から、都合が合わないので先に確認しておいてほしいと連絡があった。

 月が替わったところでお知らせが届いているので、イベントのスタートは1週間後の水曜日から。長いイベントの次だったので何が来るのかと思ったところにあの封印シリーズだったからどうなるのかと思ったが、その感想はさっきの会話の通りだ。

 イベントダンジョンのヘビーローテーションで消化がおいついたと思った空間の歪み。……どうやら、全く、全然、これっぽっちも間に合っていなかったらしい。とりあえず、バックストーリーを確認してみよう。



 逆干渉による制御権の奪取と召喚者の助力により、神々は、異界の存在による空間の歪みへの干渉の大部分を断ち切る事に成功した。残念ながら完全にとはいかなかったが、それでも絶えず祈りが捧げられている神殿までもが取り込まれることは無い筈だ。

 しかし、空間の歪みは元々、それそのものが危険物となる可能性をはらんでいる。異界、という外部からの干渉はその制御に一役買っていたらしく、その大部分を断ち切った事で、神殿に集めきれず溢れていた空間の歪みの一部が、暴走を始めてしまった。

 異界の理を排除する事と、未だ再度空間の歪みへ干渉しようとしてくる力の拒絶に神々は力を取られ、満足な対処が出来ない。神々は出来る限りの対処は続けつつ、召喚者へと託宣を下すのだった――――。



 という訳で。イベントの大雑把な内容としては、その溢れた空間の歪みを封印して回るという形になるらしい。


「ダメじゃないですか」

「完全にダメな奴っすね」


 そもそも空間の歪みとは、召喚者という異物を世界に招いた事で発生する、副産物的なエネルギーっぽいものの事だ。ちゃんと扱えばダンジョンの報酬とか亜空間とか便利に使えもするが、基本はやはり危険物である。

 それを制御しきれずに暴走するとか、「大きな傷」に認定されたやらかしの奴らを笑えないぞ、神々。

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