第972話 34枚目:攻略行動

「いい機会だから言っちゃうと~。私は植物系の種族だったのよ~。今の種族名は~、ファウナ・アシスト・アルラウネ・クイーンって言ってね~。たぶんもう1回は進化できると思うの~」

「私より進化回数多くありません?」

「進化回数はともかく~、スキルもステータスも支援に特化しているから~、直接戦闘能力はお察しなのだけどね~」

「いやいやいや、集団で動いてるときは一番厄介な相手だから。仲間だから頼もしいけど、敵だったら出現するだけで絶許難易度だぞ」


 ころころ笑ってそう告白した「第五候補」。なお、今更ながら本名プレイヤー名は「アベリア」だ。……花の名前なんだが、花言葉が「強運」と「謙虚」である。うん?

 しかしそうか、アルラウネ。そう来るか。直接会えるようになった時点では、既に完全な【人化】が出来ていたし。確かに魅了特化な支援タイプで何の違和感もないけどな?

 というか、まさか、それで第一回イベントの時のドレスの色が白だったのか? アベリアの花の色はいろいろあるが、代表的なのは白い花だから。


「まぁ~。一番最初の時は花どころか~、新芽だったのだけどね~。割と途方に暮れたわ~」


 なお、それはそれでだいぶハードだった模様。まぁうん、そうだね。流石に第一陣の魔物種族の人達でも、植物そのまんまっていうのは聞いた事がない。なお、大別で行くと魔花族という種族になるらしい。花か。そうか。

 ちなみに種族名の頭についている「ファウナ」だが、これは直訳で「動物相」の事を指すらしい。……アニマルとインセクト、両方を合わせて、って意味だろうか。動く生き物、という大きな括りって感じの。

 しかし植物系種族か……それは分からなかったな……。というか、初対面の時の私の種族予想、ほぼ全部外れているのでは? 「第一候補」もあれで物質系種族だったし。


『まぁそういう事なので、「第三候補」の繋いだ縁を頼ることで、巫女が3人集まる事が出来た訳である。ただ問題は、その楔を打ち込むまでの護衛、楔を打ち込む回数の制限、そして、楔を利用できるのは打ち込んだその場にいた者か、その者と共に行動する者だけ、という事であるな』

「……。なるほど。それで外部とも同時に話し合いができるようになっている状態で、2人が護衛付きでここへ来た訳ですね。利用者の絶対数が増えなければ、後で詰む可能性までありますし」

「オッケー理解した。とりあえずあれだ。パーティリーダーは「第三候補」がやって、パーティに入れる時点で種族特性とそっちの巫女ちゃんの目で篩にかけよう! 俺と「第一候補」が手分けして見張って整列誘導して、「第二候補」が睨みを利かせてりゃいけるだろ!」


 まぁ狙わない訳がないからな。暗殺的な意味でも生贄的な意味でも。そして何重もの意味で、ネレイちゃんとカトリナちゃんは絶対に守り抜かないといけない。

 ……。いや。「第五候補」は守らなくていいって訳じゃないんだけど。それでも「第五候補」は召喚者プレイヤーだし。それに、自己申告で戦闘力が低いと言っても、それは同じ回数進化を重ねた、種族レベルが近い相手と比較した場合の話だし。というか私とサーニャが教えたから【○○古代魔法】は空間以外全部使えるだろうに。

 まぁでも、大型連休の内に分かって良かったな。これが土日だけしか大人数が集まれない状態だと、かなり難しい事になるだろう。


「利用者は設置時に同行する以外には増やせない。……とはいえ、神の力によるものです。相手を押し返すことができれば、誰でも出来るようになるのでしょう?」

『その筈であるな。そして制限が緩めば、また更に楔を打ち込むことも可能になるであろう』

「でー、そのたびにまた大騒ぎする事が確定だし、その間ずっと守り切るってのはまー確かにキツいか。そんでウチに集合したんだな」

「その後も安全かと言われると、それは疑問もあるのだけど~。それでも、絶対に今までの比じゃないくらい狙われるのが分かっているものね~」


 という事だ。おそらくこのままネレイちゃんとカトリナちゃんは「第一候補」の島に滞在するのだろう。……ショーナさんとルールに伝えて、警備を強化しておいてもらわないとな。カバーさん達がすでに手配してくれている気もするけど。

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