第971話 34枚目:攻略方法
とりあえず、呼ばれているなら行くしかない。ソフィーさん達と合流したついでにカバーさんの伝でエルルとニーアさんを呼んでもらい、全員で大神殿から「第一候補」の島にある正規の玄関口へ移動だ。
「あれ、「第三候補」? 最前線に張り付いてるんじゃなかったか?」
「「第一候補」に呼ばれまして。そう言うあなたこそ、使い魔の研究開発で自分の島に籠っていたのでは?」
「いっそ広域探索に振り切って最短ルートを割り出す方が確実かなと思って、蟻型使い魔の性能試験だな! 普通に範囲攻撃と数で潰されたけど! しかし「第三候補」もか。なんなんだろうな?」
「さぁ? ま、行けば分かるでしょう」
「それもそうか!」
で、「第四候補」と鉢合わせた。どうやら向こうも似たような状態だったらしい。なるほど、それでフッダーさんをはじめ
連れ立つ形で移動した先は、お客様用のスペースにあるしっかりとした大きめの部屋だった。外部組織との機密性が高い会議や打ち合わせに使われる事が多い部屋で、所属メンバーによる案内がなければ辿り着けない細工がしてある。
ここに集合、ということは、思ったより重要な事なのか? と思いつつ、しかしそれにしては話に参加する人数が多いな……とか考えている間に到着。内心首を傾げつつだが、ノックをして名乗りを上げ、部屋の中に入る。
「……良い意味で予想外ですね。納得はしましたけど」
「ちょっと、どういう意味よ」
「だから良い意味ですが。だって出てこれる程度には内部が安定したという事でしょう?」
「そうなんだけど……」
そこにいたのは、そもそも呼びかけてきた「第一候補」、先に合流していたらしい「第五候補」、およびその関係者と、カトリナちゃんとネレイちゃん、その2人の護衛だった。
……ネレイちゃんは進化したらしく、今のカトリナちゃんと同じくらい、つまり普通に女性と呼べる見た目年齢になっていたので、そろそろちゃんではなくさん付けにするべきか。
なるほど、と、私が席に着きながらこぼした言葉にカトリナちゃんがもにょっていたが、それはともかく。部屋の隅にいるのは確か、検証班で撮影を担当してた
『ふむ、揃ったな。「第二候補」については予定が合わなんだ故、後ほど知らせるつもりである』
席の数的にもこれで全員か、と思ったところで「第一候補」が口火を切った。そうだね。「第二候補」はログアウト中だ。こればかりは仕方ない。今回は儀式的な話の割合が高そうだから、あとで伝えるだけでも支障はなさそうだけど。
『集まってもらったのは他でもない。巫女ネレイ、巫女カトリナを通じ、神々からより短時間で災いの大元に迫るための方法が提示された為、その共有。及びその方法をどうやって実行するか、という話し合いである』
「マージで? 神様もやっぱ考えてくれてたんだなー」
『そうであるな。とはいえ、一筋縄ではいかぬのだが……。その方法には複数の理由で人数が必要である為、大神の加護を介して外部から話し合いに参加してもらっているである』
「まぁ簡単な方法ならとっくに実行してますよね」
ついでに言えば、ネレイちゃんとカトリナちゃんが、直接『アウセラー・クローネ』のクランハウスに来る必要もないだろう。それこそ腹心の護衛か、神殿所属ないし神殿付近にいる協力的な
しかし聞いてみなければどれくらいの難易度なのかは分からない。という事で大人しく話を聞く。さして引っ張ることなく話してくれた「第一候補」によれば。
『現在我々召喚者が踏み込もうとしている場所は、神々と「モンスターの『王』」で力が拮抗状態にある、とはいえ、形としては試練で間違いない。故に、強力な神の力があれば形を変えられる筈なのだ』
まぁでも、神々側にそんな余裕があれば、そもそも拮抗状態にはなっていない。私の【王権領域】も弾かれたしな。つまり、通常手段では無理ってことだ。
じゃあどうするかと言えば、ここでネレイちゃんとカトリナちゃんが安全な神殿を出てわざわざここへ来た理由になるらしい。すなわち。
『神の力を降ろした状態で深みへ侵入し、その降ろした力を放出することで楔とする。そうすれば、試練としての難しさは変わらぬだろうが、その形は変える事ができる筈である。例えば、楔を打った場所までのモンスターが、たった1部屋に出現する、とかであるな』
「戦闘力を合計したデカめのボス1体でもいいってこと?」
『必要な巫女は3人である故、干渉する神の力も3種となる。故に、形の変え方も3パターンぐらいは決められるであろう』
って、事らしい。
……ん? ちょっと待て。今この場にいる巫女は、ネレイちゃんとカトリナちゃんの2人じゃないのか。1人足りないぞ? 今まで聞いた限り、巫女っていうのは信仰を1つに絞っている必要があるから、私は巫女になれないんだけど。
「あれ? 巫女が3人って、あと1人は?」
同じ理由で「第一候補」もアウト。「第四候補」は分からないが、戦闘スタイル的に一神教では無理があるんじゃないかな、という気がするんだが……。と思っていると、同じことを思ったらしい「第四候補」が質問を口に出してくれた。
それに対して反応したのは、席についているものの黙って話を聞いていた「第五候補」だ。
「それはね~、私が実は巫女だったのよ~」
……。
…………。
「まっっっじで!!??」
「……聞いてませんが」
「言ってないもの~。最近の事だし~」
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