第970話 34枚目:攻略難航
そこから色々試したものの、私の壁破壊もそこまで一気に広範囲を壊せるわけではなくなっているし、そもそもどちらに進めばいいのかが分からない状態では効果が薄い。
ハードルを上げたのが悪かったのか、「第四候補」の作業進捗もよろしくないようだ。しかし本当に、一体どうすればいいんだろうな? 異界の理なんだから神の力で相殺できそうなもんなんだけど。
……というか、相殺した結果の神の加護の封印なのか。そうか。なるほど。
「本当に、超大型モンスターハウス100回まで詰め合わせ、とか出てきませんかね」
「イベントの趣旨からは大幅にずれてる感じはするっすけど、それぐらいは欲しいっすねー。そこまでぐらいなら普通にこっちが過剰火力っすし」
「かといって、内部に神の力を直接持ち込む事が出来ないのは分かっていますし」
「外からどうこうっていうのも無理っぽいっすよねぇ」
相変わらず情報が足りない……と、カバーさん、フライリーさん、マリー達というメンバーで挑戦から戻ってきた。マリー達、というか、マリーのログアウト時間が迫っていたからだ。
そもそも挑戦するためには神域ポータルを利用する必要があるので、
竜都の大陸では相変わらずモンスターの群れを吐き出すポイントがぽこぽこ出現するし、神殿のダンジョン化も続いているので、戦力を置いておくという意味で私が挑戦するのは竜都付近にある大神殿だ。「第二候補」が事前に修復したやつだな。
「何か情報を集め損ねているか、拾い損ねている気がするんですが。問題は、それがさっぱり分からないって事なんですよね。流石に神の加護が封印されるというのは、ステータスやスキルではどうにもなりませんし」
「先輩の種族特性込みでもキツそうでしたもんね、ルチル先生。けどこれ、間に合うかどうかっていうとだいぶキツい気がするっす」
「同感です。だから何か見落としてるような気がするんですが、それこそ神器ではないでしょうし……」
うーん、と大神殿付近の邪魔にならない場所で、入れ替わりに合流してくれるソフィーさん達を待ちつつ、私の頭に乗っているフライリーさんと話し合うが、分からないんだよなぁ。
周りの
イベントダンジョンは限りなく野良に近いものの、正式な試練だ。だが、捧げものは出来ない仕様となっている。まぁ力が拮抗してるんだから、フリアド世界の神々だけではなく、「モンスターの『王』」まで捧げもので強化されかねないからなぁ。
「だから、捧げものをして実力を示すことでショートカットが可能になる、とかいう事でもないと思うんですよ」
「まぁどの神様に捧げたらいいのかも分からないっすもんね」
「異界の理こと「モンスターの『王』」も干渉してますから、そちらは確実に無理筋ですし」
「まぁショートカットとかさせてくれる訳がないっすよね」
さてどうしたものか。と思っている間にソフィーさん達が来た。今回フライリーさんは私とほぼ同じタイミングでログインしてくれたので、このまま時間いっぱいまで一緒に攻略してくれる予定だ。
手を振って合流してくれたソフィーさん達をパーティに誘い、視界の端に名前が並んだところでカバーさんを振り返る。パーティメンバーが増えたことによる視界の変化は分かっている筈なので、出発だ。
「……すみません、ちぃ姫さん。挑戦の前に、少々来客の対応をしていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい? いえ、対応は構いませんが」
「ありがとうございます。どうやらクランハウスの方に訪問者があるようです。……最初に対応されたのが大神官さんなのですが、そこから可能な限りは集まるように、という声がかかりまして」
「「第一候補」が?」
うん? どういう事だ? まぁ「第一候補」が呼んでるんだったら、少なくとも害のある何かもしくは誰かではないだろうけど。
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