第967話 33枚目:イベントのお知らせ

 3重になっていた「モンスターの『王』」が構える壁型砦の中心を見た所で、次のイベントのお知らせが届いた。ちなみにそのお知らせに、イベントアイテムは持ち越し出来ないと書いてあったから、景気よく消費されている所だ。

 まぁそれはそれとして、次のイベントである。クランハウスでの確認だから、精霊獣達も集まってきているが、まぁいつもの事なので。


「先輩、何かこの子達見るたびに大きくなってる気がするっす」

「……そう言われればそうですね。前は最大でもフライリーさんと同じ大きさだったような」

『普通に成長したのではなくて?』


 種族特性もあって私の側は心地いいんだろうなぁ。椅子に座ってても埋もれてる状態になってるんだが。しかし、進化して大きくなっても引っ付ける場所が増えたぐらいにしか思われてないような……まぁ可愛いからいいか。

 てな訳でイベントの確認だ。中心部分の空間が歪んでいる事と、ここまでのパターン的に亜空間探索系かな、と思っていたんだが……うん。どうやらそれで当たりらしい。

 ただ流石に、フリアドの世界設定からすれば大分イレギュラーなのは間違いない。……だからなのかなんなのか、例によって捻りが入ってるんだよな。というか、システム的にややこしい。とりあえず、バックストーリーから確認すると、だ。



 召喚者の活躍により、巨大な建造物の排除に成功したことで、ささやかながら祝杯を挙げた神々。もちろん予断を許さぬ状況ではあるが、それでも異界の理を弱体化させ、排除する為の大きな一歩だった為だ。

 だが、建造物の最奥にあったのは、非常に強力な空間異常だった。神々はそれを確認し、調べ、この空間異常こそが、周囲の神殿に集められた空間の歪みに干渉する為の源であると結論を出した。

 そして、干渉する為の源であるなら、こちらからも干渉が出来る筈だ。集まりを開き、相談し、その末にそういう結論を出した神々は、力を合わせて逆干渉を開始すると同時に、召喚者へと託宣を下すのだった――――。



 と、言う事でイベントの内容的にはどうなるか、と言うと。


「連続挑戦できるダンジョンっすか。……例の難易度おかしいダンジョンとどう違うんすかね?」

「クリア報酬がそれぞれに発生して詰み上がっていく事と、連続で攻略すればするほど難易度が上がる事が一番の違いのようですね。連続攻略ボーナスとかついてますし」

『不意の合流と、それに伴う難易度の上昇、特殊な敵の出現、というのもある、と書かれていますわね』

「連戦で疲れた先にレイドボスが出現する、とかいうのも有り得るんすね……」


 ちなみに、難易度が上がれば上がる程神の加護が封じられていくので、例によって住民の参戦はきつそうだ。ダンジョン化した元神殿と同じ仕様ならやりようはあるが、推定エンドコンテンツのダンジョンと同じ仕様だとそこそこ無理がある。

 なお、入り口は例の空間異常が起こっている場所。……ではなく、神域ポータルからの転移だそうだ。通常空間ではないので、実質亜空間への移動だな。

 そして月が替わる前にお知らせが来てるって時点で分かる通り、5月イベントは1ヶ月丸ごと使う大規模な方のイベントだ。まぁ召喚者プレイヤーが増えて空間の歪みも増えている(という設定)だろうから、ダンジョンの数自体が増えているのは納得なんだけど。


「山ほど建材が入ったでしょうから、個人で建てる神殿も立派になっているでしょうけど……空間の歪みに干渉できるって事ですし、たぶん、どっかのタイミングで横取りして溜め込んでるんでしょう」

「あー……。あの、最初のレイドボスが出てきた時みたいな感じになってるやつっすね……。あと、去年の1月イベントでどっかの邪神がやってた感じの……」

「そっちはそっちで干渉しているのがほぼ確定していますからね……」


 あとは……もう1つの恒例として、5月イベントでは、「大きな傷」が出てくる可能性も高いんだよな。

 あんまりメタ読みはしたくないんだけど、神々総出で空間に干渉するとか、実にそれっぽい状況だし……。

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