第957話 33枚目:イベント開始

 と、言う訳でイベントスタート。素早く検証してくれた検証班によれば、どうやら集める、作る、祈る、使う、使われる、の5項目でチェックがある、スコアポイント制らしい。

 各生産スキルにイベント期間のみ作成・使用できる特殊アイテムが追加され、ダンジョンを攻略したりモンスターの素材を捧げたりしてイベントアイテムを集め、任意の生産スキルで作成。手に持ったり神殿に行ったりして祈る事で神の力を込めて、生産スキルに応じた使い方をすればいいらしい。なお、他人に使ってもらってもポイントは入る。

 最終的な威力を上げる為の係数は、それぞれの手順から大体想像がつく通りとの事。それなら私は、それこそ集める所からやろう……と、思ったんだが。


「……こうなります?」

『理を考えれば当然であろうな。何せ、我は未だ自らでは立てもせんのだ』

「もしかして、「第一候補」も進化に何か特殊な条件が必要なタイプですか」

『アイテムというか素材の方である。大体分かってはおるのだが、入手が非常に困難である故な。現状手に入らぬ』


 探索時と同じく、「第一候補」を抱えて、ひたすら色々なタイプのイベントアイテムを投げまくる事になった。

 いや、その。周りの安全を確保するって意味で、私の領域スキルがすごく有用なのも分かるし。そこに「第一候補」の分も重ね掛ける必要があるのは分かる。そもそも、モンスターの群れは途切れず出現し続けているんだし。

 なんだけど。……まさか、「第一候補」を抱えた状態でイベントアイテムを使うと、信仰値の係数が合算された状態になるとは思わなかったよね。威力がどう見ても明らかに違うから、最初の一発は何が起こったのかと思ったよ。


「うちの子が集めて作るところまではやってくれますし、領域スキルを重ねた中に持ち込んだらその時点で祈った扱いになるとは思ってないんですよねぇ」

『くはは。我と「第三候補」の信仰値と種族特性を考えれば、軽度であるが聖域のようなものになっているであるからな。神域への入り口と言う意味の、であるから、神の力を宿す為のものがあれば、その充填ぐらいは即座に出来よう』

「領域スキルの範囲に入っただけで神の力がフルチャージ。それなんてワイヤレス充電ですか?」

『くはははは! 例えがあれだが間違ってはおらぬな!』


 もちろん当たり前だが、ほぼ全ての神々を大体平等に信仰している「第一候補」はともかく、私が一定以上信仰している神に限る。それでも今までお世話になった神々への信仰心はそれなりにあるので、普通に祈ったくらいの充填は出来る筈だ。

 一般召喚者プレイヤー的には、祈る工程を住民に任せると良質になりやすいらしい。……まぁそりゃそうか。基本の心構えがゲームなら、そこまで本気で心を捧げるとこまで行く人は少ないだろう。


「しかし削れた気がしませんね。周囲への影響はどんな感じですか、「第一候補」」

『効果は出ているであるぞ。見た目には変わらぬように見えても、この場に満ちていた異界の理の力が弱まっていっているであるからな』

「なるほど。つまり、少しずつ近づけるようになってはいるんですね」

『そうであるな。とは言え、その範囲があの向こうまで引っ込むにはまだまだかかりそうであるが』


 ちなみに、イベント進捗的にはそんな感じらしい。まぁここから見える範囲だけでも、イベントアイテムが発動するエフェクトが肉の壁型砦に乱打されてるからな。その様子だけ見れば袋叩きなんだけど。

 まぁ大学への入学式が始まるまでは、可能な限り「第一候補」と予定を合わせてログインしよう。私も一応はリアルで新生活が始まるから、流石に4月中はそれなりにごたつくだろうし。

 ……通学こそバスを使うようになったけど家から通えるし、サークルにも入る予定はないから、思ってるほどは生活を変えなくてもいいかも知れないという気はしている。

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