第958話 33枚目:目標確認
さてそんな訳で、ひたすらイベントアイテムをぽいぽい投げ続ける事リアル一週間が経過した。まぁログイン時間を「第一候補」と合わせている間だし、それ以外の時間は試練での材料調達とイベントアイテムの作成にかかってたんだけど。
2手に分かれている上、丸い形をしている以上は一番外側が最も大きい。それにそもそも数の力で対抗するべき相手なのだから、流石に結構かかったな。まぁそれでいいんだろうけど。
周囲の影響力が削がれている事は「第一候補」に聞いて分かっていたし、その影響力がとても強い範囲が、肉の壁型砦の向こうまで引っ込んだ結果、どうなったかと言うと。
「ようやく空から見えるようになりましたか。……一番外側だけは。しかし「第一候補」。これってやっぱり内部の空間が歪んで広くなってるパターンですかね?」
『その可能性は大いにあるであろうな。それに加えて、こうして見える形は円形をしていても、内部の方が巨大である可能性も高いであろう』
「ですよね。本当に面倒な」
と言う事だ。なお肉の壁型砦も、「拉ぎ停める異界の塞王」の方にある陶器っぽい何かで出来た壁型砦も、空から見えるようになる条件は同じらしい。
「まぁ見えても干渉できないって辺り、ズルせずちゃんと攻城戦しろという無言の圧力を感じる訳ですが」
『何とは言わんが、色々と予定外になってしまうであろうからな。致し方あるまい』
そういう事なので、現在は私がイベントアイテムを投げつつ、エルル達が普通の攻撃で肉の壁型砦を削れないか試しながら、
そして内部について今の所分かっているのは、元不思議な土地にあるダンジョンと同じ仕様となる神の加護の封印と、内部に居るモンスターは広範囲にかかっていたものと同じデバフの積み込みをしてくる事、罠も同じくデバフを積み込み、内部が外側から見たのと同程度に趣味が悪い、という感じだ。
なお壁や床、天井からモンスターが出現するのは想定通りなので反応は省略。あと、祈る工程までを終えたイベントアイテムを自分に使うと、積み込まれた「モンスターの『王』」由来の状態異常が解消されるというのも発見だろう。
「まぁ、イベントポイントが祈る工程と使われる工程の分で大量に入るのは良いんですけど……」
『我にも入っておるな。まぁ、そもそも大量に入る前提であるようであるが』
スタック状態となるイベントアイテムのお札を束で投げつけていると、「第一候補」がメニューを開いてイベントページを見せてくれた。手は止めずに覗き込むと、確かにずらずらと大量の交換アイテムが並んでいる。
イベント報酬でおなじみ「白紙のスキル書」はもちろん、あのガチャとなっていた種からの便利アイテムから人気の品が並んでいる。交換品限定のイベントアイテムもあったが、これはイベント期間内に忘れずに交換した方がいいだろう。
で、イベント限定装備……信仰値によって威力が上がるものと状態異常耐性が上がるものが目玉なようだ……もいつものやつとして、結構まとまった量の建材が報酬に並んでいた。まぁ並ぶだろうけど。
「……建材の交換上限がめちゃくちゃ高いですね」
『で、あるな。それぐらいは消費する、という想定なのであろう。召喚者が個人で建てる神殿も、規模を上げれば信仰値そのものに加え、信仰値に由来する補正全般が上がっていく故な』
「それは初耳なのですが」
『そうであったか?』
え、なにそれ知らない。信仰値はともかく補正全般が上がるのは知らない。ちょっと手を止めてゲーム内掲示板から『アナンシの壺』の情報まとめから信仰関係の情報を見る。……載ってないな。
「とりあえず「第一候補」。その情報はすぐパストダウンさんに伝えて下さい」
『そうか、言っていなかったであるか』
「というか、他にも似たような情報は無いでしょうね?」
『……諸々含めてパストダウンに確認するである』
どうやら「第一候補」も情報を共有し損ねている事に気付いたらしく、そのままウィスパーを飛ばしたようだ。私も開いていたメニューを閉じて、イベントアイテムを投げつけるのに戻る。
……たまにこういう事があるからな、「第一候補」。声と言い回し、及びその思想は本当に人格者で立派なんだが、もしかしなくてもそこそこ天然なのでは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます