第956話 32枚目:イベントのお知らせ

 イベント期間が終わった所で卒業式があり、3年間通った高校とお別れとなった。いやー、自分の事は割と淡白な人間だと思ってたけど、存外感動もするし涙も出るもんだ。

 ……クラスメイトの4分の1ほどが、フリアド内で『可愛いは正義』に所属している、という事実が思い浮かぶと大変微妙な心境になってしまうので、出来るだけ考えないようにはしていたが。

 ついでに言えば同じ高校を卒業するうちの半分ぐらいは同じ大学に行くのだが、それも考えないようにした。うん。ほら。卒業式って言うのは感動的な方がいいじゃん?


「で、間を空けずにイベントのお知らせ大神の啓示が来ている訳ですが。……まぁタイミングがタイミングですからね。どかっと新人が来るなら今でしょうし」

「けど、全域デバフの中をモンスターの群れをかき分けつつ攻城戦とか、全然初心者に優しくないっすよね?」

「普通に高難易度なので、初心者に限らず欠片も優しくないですね」


 それはそれとして、次のイベントのお知らせが今来たって事は、4月イベントは1ヶ月を使う大型イベントという事になる。まぁ4月だからね。去年と同じく新人歓迎キャンペーンもやるんだろうし、期間は長くなるだろう。

 なお、メインストーリーはフライリーさんの言う通りなので、一体どうなるのかさっぱり読めない。後方支援と最前線でばっきり役割を分けてしまうのか?

 一体どうなるのか、と思いながらシステムメールを開き、今日はタイミングがあったらしく、【人化】を解いて我が物顔で膝の上を占拠したマリーも一緒にお知らせを確認だ。


「……こう来ますか。まぁ確かに、あの神殿のダンジョン化は分類で行けば戦闘でしょうけども」

「それに、これなら確かに新人さんが来ても、やりよう次第で活躍できそうっすねー……」

『意外と考えているようですわね。バランスだけは、ですけれど』


 1月イベントは12月から続く複合型のイベントだったから除外して、2月イベントが神殿のダンジョン化&ダンジョンの難易度追加って事で分類が「戦闘」。3月イベントはそのまんま文字通り「探索」。なので今までのパターン的に、次に来るなら「生産」だ。

 攻城戦はほぼ確定しているので、どうなるんだ? と思っていた訳だが、運営は見事にその分類に収まるイベントを考え付いたらしい。そして4月と言う事で、これなら新人も十分参加したと言えるだろう。

 ……何故ここまで考えられて、難易度設定があれだったり情報の出し方が下手過ぎたりするのか。というのはちょっと置いておき、まずはバックストーリーを確認してみよう。



 召喚者を中心とした探索により、異界の理が強まっている地の詳細を知った神々。地に足を着けて探索しなければ分からなかった巨大な建造物の存在が判明し、その様相に、神々は強い嫌悪と苦々しさを覚える事となった。

 この建造物によって異界の理が定着しつつある事も判明している。早急に排除するべきなのだが、異界の理の大元となっている以上、その影響力は大変強く、このままでは手の出しようがない。

 流石に召喚者であっても、無策でどうにかなる存在ではない。神々は頭を抱えつつも集まりを開き、話し合い、相談し、頭痛をこらえながらも出来る範囲の対策を用意して、召喚者へと託宣を下すのだった――――。



 と、言う事で、その対策って言うのが、だな。


「神の力を宿らせた上で肉の壁型砦にぶつけ、相殺する形で相手を影響力諸共削り取る形代、ですか。……神の力による手榴弾ですかね?」

「普通に爆弾じゃないっすか?」

『いっそ形もそのようにしてほしいですわね。魔法であっても、グレネードランチャーの再現位は出来て欲しい所ですわ』


 って事らしい。なるほどな? 確かにこれなら自分に出来る範囲の試練を受けて材料を集め、それを最前線に送れば十分貢献になる。それに作って神の力を込めるのは住民の神官でも出来るらしいので、数の力の出番だ。

 まぁ私はぶつける側になるんだろうけど。だって空からだと見えないって事は、竜族式空爆が出来ない可能性があるから。まぁこれもまた、神々というか神話同士のランキング的勝負になるんだろうし。


「とはいえ、流石にボックス様は苦手分野ですね」

「真っ先に出てくる感想がそれってあたりが先輩っすわー」

『それでも諦める気は無いのでしょう?』


 当たり前だ。威力が低いなら数を用意するまでだしな。

 まぁ大陸の場所が場所だから、ティフォン様とエキドナ様の方が絶対に威力が高いのも分かってるんだけど。


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