第927話 30枚目:イベント状況
やる事がごっそりと無くなったが、それならそれで生産作業をしたり、隊長をしているエルルを遠くから覗き見したり、掲示板ではなくニーアさんからの報告で各地の状態を把握したり、やる事が無い訳では無かった。
「分かってましたけど、混乱慣れしてますねーあの方々!」
「元『本の虫』組の人達ですか?」
「そうそう、そうでした。ところでその名前って何なんでしょう?」
「ちょっと長い話になるんですが……ニーアさんはクランって知ってますか?」
1月1日だけは流石にちょっと特殊だったが、後は普通の休みと一緒だ。なのでそんな会話をしながらやる事をやって、思っていたよりは平和な時間が過ぎていった。
なおモンスターの群れが湧いて出てきていたのは、難易度頭おかしいんじゃないのかという野良ダンジョンだったらしい。大抵の元不思議な土地に出現したのは1つだったが、古代竜族の竜都周辺には5つも出現していたそうだ。
しかも、内部時間の日付が変わるタイミングでモンスターの群れが入り口を中心に湧いて出る、というだけでも十分厄介なのに、攻略の為に内部に突入すると、その人数と強さに応じてモンスターが湧いて出るらしい。
「しかも内部は神の加護が封じられる上に、毎秒ダメージとランダムデバフのチェックあり、ですか……」
どうやって攻略しろと言うんだ、という難易度だが、まぁ、古代竜族が復活して、
死に戻り戦法もそれなりに使いつつ
なおその野良ダンジョンの場所が判明した時点で、防衛陣地はその場所を囲むように構築し直している。私がいるのはその1つ、というか、その中で一番湧いて出るモンスターが強い場所だ。
「まぁいるだけで周囲にバフを積み込むんですから、一番厄介な場所に配置されますよね。戦力バランス的な意味でも合理的で妥当ですし」
「後は士気の問題ですね! 末姫様が居ると言う事で、絶対に殲滅すると皆さんのやる気が急上昇です!」
……。まぁ、防衛ラインを抜かれたら、私が傷つく可能性が発生するからな。実際に傷がつくかどうかは別の問題として。
そんな感じで、最初にあったいくつかの段階をすっ飛ばした状態になっても、イベントとしては手応えばっちりという現状になっている。だから、運営。難易度が高いんだよ。
一応、野良ダンジョン自体はイベント期間限定ではなく、つまりは最悪エンドコンテンツという可能性もあるのだが、それにしたって周囲にモンスターの群れを際限なく湧き出させる仕掛けぐらいは潰す必要があるからな。
「……古代竜族を、この大陸に釘付けにする、という目的がないとも言えないのが頭の痛い……」
竜都の大陸の防衛戦も、古代竜族が本気で参戦したら割とすぐ押し返せるというのが見えているから、そういう推測も出来てしまう。実際の所は運営しか分からないが。
なので、イベント自体は一応順調と言えるだろう。一応。
「ところで、末姫様。前々第二皇姉様からお招きされているのですが……」
「……急ぎですか?」
「急ぎですね。しかも出来るだけこっそり、と!」
…………生憎、私はのんびりしている訳にはいかないみたいだけど。
どうやら現在の竜皇様は、封じられていた竜都の時代の竜皇様の孫に当たるらしい。つまり、古代の竜皇の、2番目の姉って事だな。
そう。
つまり。
あの引継ぎ部屋を残した、アキュアマーリさんだ。
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