第925話 29枚目:油断大敵
戻るだけなら然程かからず、無事にあわあわしながらニーアさんを介抱していたサーニャと合流。ニーアさんはそのままサーニャの背中に乗せる事にして、防衛陣地の1つへと移動した。
なんだかんだ言いながら各イベントで規模の大きな防衛戦を何度もやって来たので、
ベテランが慣れているという事は新人への教え方も確立しているという事なので、その辺混乱はほとんど見られない。良い事だ。
「ドラゴンポートがあるのはこれ、現代竜族の人達向けですか?」
「それもありますが、普通に空を飛ぶ手段での出入りに便利だと言う事で広まっていますね」
どうやらそういう事らしい。まぁ確かに便利だな。サーニャもスムーズに着地できたし。
流石にこの高さからでは他の場所の様子は分からないが、掲示板を流し見る限りは順調に行っているようだ。割と本気で間に合って良かった。
一方、推定邪神関係の封印はと言うと、こちらはかなり激しい攻勢を掛けられているようだ。特殊ログイン時間は、累計ログイン時間に影響しなくても、ログイン制限には引っ掛かる。だが襲撃者はその制限を無視する勢いで攻めかかってきているようだ。
「
流石に邪神でもログイン・ログアウト関係はどうしようもないと思うのだが……もしかすると、本気で特殊ログイン時間を捨てて仕掛けているのかもしれない。と、思わざるを得ないんだよな。
何せあちらの総合人数が読めない。つまり、終わりが見えない。どうせ例によってデスペナルティぐらいは緩和しているだろうし、移動式の死に戻り地点は割と簡単に手に入る。自力作製含めて。
ただ、私に出来る事があるかと言われると、無いと答えるしかない訳で。
「……どちらにせよ、特殊ログイン時間を逃す訳にはいきません。その前からログインしていれば、連続ログイン時間の方には引っ掛かる筈ですし。流石に、特殊ログイン時間を通常ログインで過ごそうとは思っていない……筈、なんですけど」
本当に、厄介極まるんだよなぁ。色んな意味で。
私は特殊ログイン時間に合わせてログインし直したが、どうやらこの
特別な年の切り替わり、リアル12月31日の24時までが一番の勝負所、とばかりに攻勢は激しくなる一方との事だ。なので、大半の住民はその、解かれてはならない封印を守る方に回っているらしい。
……となれば、当然、その裏をかいてくるよなぁ……と、言うのは誰しもが分かっていたのだが。
「まぁ来ますよね。万に一つも通ったらアウトという危険度で」
「ちぃ姫さんの種族特性には、本当に助けられていますね」
「この方向で進化しておいて良かったと、かなり心底思っているところです」
来ない訳ないのが来たなというか、手は抜かないなというか、こちらへの襲撃もきっちりあった。不思議な土地の進入制限はまだ効いているのでどうくるかと思っていたら、案の定と言うか防衛陣地への自爆テロが発生しかけた。
……ただ、どうやら邪神の気配というか、加護あるいは祝福をかけた素材を使っていたらしく、私が居た場所では、なんか勝手に倒れて自滅していたが。どうやら種族特性と言うのは、中身である私がログアウトしていても発動するらしい。
なお他の場所でも襲撃というかテロはあったらしいのだが、どうにか対処して被害が出る事は防げたようだ。とりあえず、今のところは。
「このまま乗り切れれば良いんですが」
「とりあえず防衛陣地の警戒はそのまま、不思議な土地の周辺の見回りを始めています」
「人手、足りてます?」
「……正直、住民の方々が例の封印の防衛にかかりきりなので、どちらかと言うと厳しいですね。それでも今年の1月にスタートされた方はもう十分に一人前と言っていいですし、8月以前に始めた方なら戦力として数えられるかと」
本当に司令部の人達には頭が下がるんだよな。その人達が邪神の影響を受けてないかのチェックもしっかりしてるだろうし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます