第891話 28枚目:重大な選択肢
やっぱり名付けが進化条件だったらしい。恐らく、ちゃんと正式に認知されたというか、認知手続きが正式に完了した、というのが、あの名付けの儀式だったんだろう。
というのも、イベントが始まるタイミングでログインすると、体が動かなかったのだ。しかも私は何かした覚えがないのに【人化】が解けている感じがする。身体の感覚はあるのに動けないから何事かと思ったよね。
しかし前回の事を考えると、メニュー、というか、進化画面が出てから進化もとい脱皮が始まる筈なんだけど、なんでまず脱皮待機状態になってるんだ?
[スキル【才幼体】のレベルが上がりました
スキル【才幼体】がスキル【成体】へ変化します
スキル【成長糧】Lv1000が進化に使用されます
スキル【成長因子】Lv401が進化に使用されます
進化の条件を満たしました
スキル【因子痕】のレベルが上がりました
複数の進化が可能です
進化先を1つ選択してください]
……どうやらシステム的な処理の関係とかで、メニューとして表示される方が後に来たようだ。しかし、ようやく強制進化じゃなくて通常進化になっ……いや、進化するまで動けないからやっぱり強制進化だこれ。
まぁそれはそれとして待望の進化だ。ようやくの【成体】だ。皆が頑張ってくれたので無事に【絆】も進化して【縁】になったし……なんか遠ざかった気がするのはさておき……進化先には期待が持てる。
もちろん公認の皇女になったし、そもそもこのルートから外れるつもりはない。属性魔法も古代魔法も精霊魔法もコンプリートしたし、嵐の精霊さんという普通は契約出来ない相手とも契約したし、結構頑張ったと思うんだよな。
「…………」
うん。頑張ったよな、私は。頑張った。
とりあえずスクリーンショットを撮ってからフレンドリスト確認。いやー、進化中でもメニューが使える仕様で良かったよね。
『すみません、カバーさん。今大丈夫でしょうか』
『はい、大丈夫ですよ。どうされました?』
『いえその、ちょっとメールを送るので、添付画像を確認して頂けると……』
撮ったスクリーンショットの画像を全部張り付けて、カバーさんへ送信。ウィスパーは繋いだまま、カバーさんが確認しているらしい間があって。
『…………流石に1人では手に余りますね。クラン用の掲示板に新規スレッドを立てますので、そちらへ張り付けても宜しいでしょうか?』
『はい、お願いします』
という確認が返って来た。流石にカバーさんでも手に余るかー、と思いながらすぐにオッケーを出す。まぁ、だよね。とも思ったけど。
いやー、うん。私は頑張ったんだ。進化先のヒントを貰ったから、それに沿う形で、めっちゃ頑張った。魔法の使い過ぎ対策として、エルルとサーニャに監督してもらって体も鍛えてたし。
で。その結果、だな。…………やり過ぎたらしい。
だって、表示された進化先候補が、30以上あったからな……!!
とりあえず頭に各属性の英語表記があるやつは選ばないとしても、種族表記である真ん中がいくつも種類があるのはこれ、どうしたらいいんだ? というか恐らく「全属性」だろう表記が4種類あるがどういう事? そもそも属性じゃないっぽい表記もあるけどこれは何だ?
恐らく一番最後に「シルバームーン」とついている種族が目標としていた「月たる姫」なんだろうが、それだけで5つぐらいあるぞ。多いんだよなぁ……!!
とりあえず、書き込み一番乗りで大爆笑を書き込んだ「第四候補」には後で何か仕返しするとして、相談を続けよう。流石にこれはどうにもならない。カバーさんがお手上げって時点で相当だからな。
「(いやーしかし、種族値が高い種族でやれるだけの事をやったら、こうなるかー……)」
どれだけ頑張ればいいか分からなかったから、頑張れるだけ頑張ったらやり過ぎたか。いやー、ほんっっっとにメニューというか大神特典が使える状態で良かったな。これ、使えなかったら選ばずにログアウトしてるとこだ。リアルでカバーさんに連絡を取る為に。
とりあえず今回は司令部と「第一候補」の意見を聞いて、なんなら
……ていうか、ちょっと待てよ。え、まさかこれ、ここから先の進化も全部こんな感じ、何てことは無いよな?
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