第857話 25枚目:討伐最終幕
さて折角のボス戦なのだが経過は以下省略。というか、私とエルルが周りの被害を気にせず戦闘できる状態で勝てなかったら色々ダメだろう。一応これでも現状
簡単に流れを説明すると、まずエルルに前衛として耐えて貰いつつ私が魔法で小さいやつから迎撃。ある程度数を減らしたところで大きいやつが動き出したので、エルルがさくさくと首を落として撃破。以上だ。
不思議な事にというか、腹の中に大事な物があるのだから、首を狙うというのは正しかったんだろう。氷像の狼たちは首を落とすと、その場で砕け散ってバラバラになって消えてしまった。
「……砕ける瞬間に、結構寒い冷気が噴き出してきたから、人間種族だとちょっと厳しかっただろうな」
「エルルで動きが鈍くなってるって相当ですね」
「え、マジか」
「マジです」
という爆弾もあったようなので、こちらでもやはり絵画かカードのように平面に変えられている住民の人達を私のインベントリに入れて、デバフ付き咆哮の原因っぽいものは見当たらないものの、とりあえず部屋の原形を無くしてからエルルに温かいスープを渡す。
周りの気温が気温なので温かい時間はかなり短かったが、一気飲みする為に瓶に入っているし、多少は効果があったようだ。そのまま、私がアビリティで踏み抜いて開けた大穴と、魔力を思い切りこめたお陰でギリギリ耐久度が残っていた地下通路を通ってお城の地上部分まで戻って来た。
……なお、部屋を破壊してもそこから脱出しても、非常にうるさい咆哮はそのままだ。どういう事?
「しかし、咆哮が止まりませんね。大神の加護特典の地図を見ても、他に探索できそうな場所はありませんけど」
「いや、体の重さが少しずつましになってるから、効果は無くなったか減衰してると思うぞ」
なるほど。新しい状態異常の積み込みは止まったけど、既に積み込まれた分はそのままって感じなのかな。状態異常なのかは分からないけど。
とか言っている間に、ドゴォ!! とすごい音がして、上の方から氷の大きな欠片が降って来た。もちろん避けたが、たぶんこれは、火山の女神の攻撃が直撃したな?
「……そう言えば危険は足元だけじゃ無かったか。お嬢」
「そうですね。救出した方々の事もありますし、急いで脱出しましょう。エルル、飛べますか?」
「問題無いな」
と言う訳でさっさと脱出。大陸の方に戻ってもらう途中で振り返ってみると、どうやらレイドボスの足元もダメージが通るようになったらしい。船で集まった
どうやら召喚され続ける流氷に乗ったモンスターの群れは大陸に向かう事を優先するらしく、レイドボスを殴っている
先月イベントの土日に来ていたぐらいのモンスターの群れなので、獲物が足りないって事は無い筈だ。まぁ、レイド戦だしな。
「しかし火山の女神の削り方が大きいですね。もう胴体が凹んで来てるじゃないですか」
『……。それはお嬢が内側に大穴を開けたからじゃ無いのか?』
……なるほど。私が踏み抜いた床の大穴に攻撃が届けば、そこの周囲は一気に壊れるか。ダメージが入る分には構わないが、救出と脱出が間に合って良かった、というべきだろうか。
残り1割だった体力バーは更に削れ、残りは数%だろう。これは、現場に戻る前に決着がつくか?
「ま、のんびりしていられる訳でもないようですけど」
『なんかまた指示か?』
「えぇ。救出した住民の方を神殿に運び終えたら、そのまま大陸北側防衛戦の南側司令部に来てほしい、との事です。たぶん、火山の女神への保険でしょう」
『…………そう言えば、そっちもあったな』
あるんだよなぁ。
大陸北側における防衛戦、その南側の司令部なら情報も判断も早いし、恩寵洞窟にも元竜都にも行きやすい。なおかつ、特級戦力が居ても何もおかしくない最前線だ。なにせレイドボス「沈め捕える無温の氷晶」のほぼド正面だから。
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