第842話 25枚目:調査開始
そこからクランメンバー専用広域チャットで色々話を聞いてみた所、どうやら火山の女神が(とりあえず表面上)大人しくしているのは、流氷山脈が狼の姿になってから攻撃を加えると、火山弾を反射されて集落に被害が出たから、だったようだ。
その後の検証で、どうやら神の力が付いた攻撃か、一定威力以上の攻撃は反射されるらしい。それも単に跳ね返されるんじゃなくて、こっちが守りたいものへの直撃コースで飛んでいくんだってさ。確認する前に殴らなくて良かった。
とりあえずそういう事なので、
『……確かに今も持ってますし、瞬間的に作れる大きさが一番大きいのは私でしょうけども。削る事にはならないと思いますよ?』
『それがね~。どうやら~、内部探索が必要な感じらしいのよ~。その拠点と言うか~、足掛かりって意味らしいわ~』
『獣人族の方はともかく、露樹族の方は聞き取りも出来るようになったからなー。それでいくと、やっぱどう考えても人数が足りないって話になってるみたいなんだよな! それもこう、人格的に立派な人ばっかが!』
お札やポーションの生産、でもなく、あの「沈め捕える無温の氷晶」の内部を探索する為に、その表面及び内部へ進んだ場所に「築城の小槌」を使って欲しい、って話だったんだよな。そっちなの?
しかしタスク「住民の救出」は達成したんじゃないんだろうか。……なるほど、ポリアフ様の力を含め、
なお先遣隊によれば、あのイベントダンジョンと同じく【寒冷地行動適性】スキルの付いた装備がないと、時間経過で手足の先から凍っていくらしい。しかも「必凍状態」とは違うのか、雪玉をぶつけても変化が無かったとの事だ。
『まぁ私は素の耐性も高いですし、イベント装備もアクセサリ類はしっかり交換してますけど』
『絶対内部で何も無い訳が無いからな! 戦闘力的な意味でも「第三候補」に行って貰って、正規ルートかどうか確認したいらしいぞ!』
『あぁ、なるほど。私でダメならどうしようもありませんからね』
『そういう事よね~。まぁ~、装備をちゃんとすれば~、少なくともトッププレイヤーの人達は進めているみたいだから~、大丈夫だろうけど~』
ちなみに、「第一候補」の反応が無いのは火山の女神を宥めるのに手いっぱいだからだ。攻撃が反射されるとはいえ、あの感情で動く女神が大人しくしてるなと思ったら、かなり頑張っていたらしい。いや、現在進行形で、頑張っている、か。
エルルとサーニャは頭を抱えているようだが、そこはカバーさんを始めとした司令部から説得が入っているという話だ。そりゃそうか。敵地へ乗り込むって話だもんな。皇女がやる事じゃない! って話だろう。
けどまぁ必要なら動くと言うのは事前に伝えておいたし、説得も入っているし、頑張っていってみるか。とりあえず何も無ければ、あの巨大な氷像の狼の背中や頭にお城を作るだけなんだし。
で、渋々な調子を隠さないエルルとサーニャと一緒に「沈め捕える無温の氷晶」の背中に移動する。もちろん3人とも【寒冷期行動適性】が付いたアクセサリは3つずつ装備した状態だ。しかしデカいな。
ほとんどの場所が白く曇っている「沈め捕える無温の氷晶」だが、部分的に透明になっている場所があるらしい。そこから内部を覗き込んだところ、どうも中に構造物っぽいものが見えたのだそうだ。
だから内部に侵入しようとしたのだが、雪玉をぶつけてもすぐに塞がってしまい進入できないとの事。もちろん口から侵入を試みた
「時間経過で自分自身の重量が増していって、危うい所で撤退する事が繰り返されている、と。なるほど。上手くこの小槌で「沈め捕える無温の氷晶」「ではない」ものが出来れば、そこは休憩地点に出来ますからね。地下室も作れたはずですから、そこから侵入する事が出来るようになればさらに良し、と」
と言う事で、探索はほとんど進んでいないらしい。しかし時間経過で重量が増していく、か。……何か覚えがあるな。具体的には2月イベントが始まった時の北国の大陸の状態や、流氷山脈に近付こうとして阻まれた理由とかで。
まぁこいつの能力だったのだろう。というのはともかく。とりあえず今のところ進入できている内の最先端となる、首の辺りに移動だ。ここから侵入できれば、胴体の探索が捗る事になる。
……口から出入りする場合、もたもたしていると噛み砕かれて即死するって話もあるしな。だから難易度が高いんだよ運営。
「まぁそれでは地下をメインに建築するイメージで行きますか。ま、上手くいかなくても、首の所に重量物が出来れば何か変化があるかも知れませんし」
上手くいかなかったら、その時は私達が突入する事になるんだろうけど。しかし、見た目は生物の形をしている何かの中にある構造物っぽいもの、って、一体なんだろうね?
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