第834話 25枚目:イベント詳細
イベント初日の日中はそのまま全力の防衛戦で溶けてしまったので、イベントページをまともに確認できたのは、夜のログインになってからだった。数が数だったから、特級戦力として前線に張り付いてないと、ちょっと危うかったんだよね。
夜になってぐっと
ざっとタスクの内容に目を通していくと、モンスターの討伐、動物の捕獲、除雪面積、神への捧げもの、野良ダンジョンの攻略数、と、結構な数の項目が並んでいる。そして、それらの項目名には、見覚えがあった。
「……なるほど。超大型イベントらしく、この大陸で起こった事件と言う名のメインストーリーの総集編、という形になるんですね」
そう。どれもこれも、この北国の大陸で月毎のイベントとしてやってきた事だ。流石に「凍て喰らう無尽の雪像」の再来までは無いだろうが、似たような超大型のモンスターぐらいは出現する可能性があるな、これは。
最初から飛ばしているとは思ったが、まさかほぼ1年分を1ヶ月に凝縮するとは思わなかったよ。
そしてどうやらタスクを全て完了しなければ原因には挑めないようなので、
「相変わらずギリギリを攻めてきますね……その上で未知のレイドボスが待ってるって、これは流石に詰め込みなのでは?」
今回も去年の8月同様、有名どころのクランが連携して
雪雲は雪玉を上からばら撒けばいいし、その下にモンスターの群れが居ればなお良しという対処法が確立している。動物の捕獲だけがなかなか進んでいないようだが、こちらは再びポリアフ様達姉妹神を含む地元の神々が協力してくれているらしいので、その内何とかなるだろう。
「……ただ、問題というか、懸念があるとすれば……」
イベントが始まってからも当然、各大きな街を始めた重要拠点はしっかりと警戒されている。その中にはもちろん恩寵洞窟も含まれているし、あそこは人と言うか生き物がいないので、定期的に内部の巡回が行われている筈だ。
で、その巡回ルートには最奥である神域……そう、例の女神らしい姿が、氷だか結晶だか分からない透明な柱の上部に封印されている場所も含まれているらしいんだが……。
どうやら、イベントが始まって、タスクが進むにしたがって、ほんの僅か、目視では確認できないほど僅かに、その透明な柱が小さくなっていたらしいんだ。
「どう考えても、タスクを完了したら目覚めますよね……。いえ、何も間違ってはいないんですけど。というか、流氷山脈の形をとる、言うなれば極冷の相手をするには、高熱を司る神の協力は無いと厳しいどころでは無いんですけど」
ただなー。元ネタとかサーニャの反応とかから推測できるその性格がなー。
……現在時点でも、モンスターや積もった雪を相手に火属性を使うと、ドカッと尋常じゃない量の雪が降る。つまり、火属性への制限は続いている訳だ。
ではその制限は何時解けるんだ、となれば、まぁ、順当に行けば、火山と言う火属性の極致である場所を司る神が目覚めたタイミングだよなぁ……と、推測できるわけで。
「…………。まぁ、ポリアフ様の力がしっかりと戻っていれば、大丈夫でしょう。保険的に、クラーケンの一族もしっかり力を取り戻していますし」
それに、いつかは目覚めて貰わないと困る、というのは分かっている。だってそうでなければ、この大陸の気候が本来のものに戻らないからな。特に露樹族の人達が戻ってきたら、彼らは結構な広さの、地面が見える土地が必要だろう。
ポリアフ様は、冷気と雪を司る。だからいくら異なる理、「モンスターの『王』」の影響が無くなっても、土地の状態までは戻らない。属性が同じ……とは限らないが、少なくとも近いのは確かだし。
だから、属性が逆の力が必要なんだ。それは分かってる。分かってる、けど。
「美しく情熱的、情けと愛を持ち合わせる女神。……反面、気が荒く、割とすぐ実力行使として権能を振り回す事で畏れられる神」
……どう考えても、平和で済むための説得が、難易度高いんだよな。
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