第769話 22枚目:イベントリザルト

 その後森の中で木の実を集めたり、内海で釣りをしてみたり、外海の岩礁地帯を探索してみたり、うっかり召喚者プレイヤーの針に食いついてしまったルウを回収したりして、ステージは完了だ。そして同時に、イベントも終了である。

 レイドボスを倒した事によるボーナスポイントはかなり大きかったようで、もうポイントを貯めておく意味もないと全てのアイテムを交換してもまだ余った。「時空石の原石」が相当な高ポイントだったことを考えると、破格の報酬だろう。

 その原石だが、恐らくドワーフこと山人族なら加工の方法を知っているんじゃないかという事で、エルルとカバーさんが話を聞きに行ってくれた。


(……宝石なら食べておきたいところだけど、流石にもうちょっと大きくしてからの方が良いか)


 それに、私の価値が更に大変な事になってしまうしな。一度食べたら作れるようになるんだから。恐らく空間属性の魔法が対応するんだろう。原石の状態だとほんとうにただの石にしか見えなかったから、カットされたらどんな色になるのかも知りたいし。

 さて、それはそれとしてリザルトだ。具体的にはレイドボスの報酬と、討伐成功メールにくっついていたスペシャルギフトってやつだ。

 今回は大分特殊なレイドボスだったからどういう判定になるんだろうと思っていたが、どうやら今までと同じ項目がステージごとと総合に分かれていて、後はギミック周りの特別報酬があるらしい。


「一度でも討伐できたらそれまでのステージの分も報酬が貰える、というのは親切ですね。……実際の討伐成功率がどのくらいだったのかにもよるでしょうけど」


 やっぱり無理ゲーだったのでは? というのはそっと置いておき、私が達成したのは複数ステージと総合における最高ダメージ1位と最大ダメージ1位、霧竜族ネーベルの一族の発見、島の後から出現した地形の発見、精霊獣の発見、水門の発見、最後の噴火と、走り回り続けたかいはあった感じだ。

 後は種を回収した数が一定数を突破したとかで、別で報酬が付いていた。まぁ、回収というのが何処の判定になるのかは分からないが、開けた数だけでも相当いくからな。

 で、それぞれの報酬が何だったかと言うと。ステージごとの最高ダメージと最大ダメージがイベント限定装備の引換券。各種発見は種から出て来た便利グッズの内、有用度が高いとされていた物との引換券。引換券は一定の種類の中から好きな物を選べる仕様のようだ。


「まぁそれはいいとして……」


 そして最後の噴火については、持ち運びが可能な何処でも祈れて捧げものが出来る簡易祭壇だった。まぁ神様関係だけどもね? 捧げものまで出来る簡易祭壇は滅多にないから、普通にありがたいんだけど。

 んで、総合の最高ダメージ1位と最大ダメージ1位の報酬が何だったかと言うと。


「……たぶん次のイベントで使うんでしょうが、これは一体……」


 分類としては設計図なんだけど、書いてあるのがどうも、その、設置する系の施設と言うか、複数人数での運用前提の兵器と言うか、そんな感じでな……?

 最高ダメージの方が大砲っぽくて、最大ダメージの方が攻防一体の凶悪な柵みたいな感じなんだけど、どういう事だ……?


「うーわ。しかもこれ、素材がまたえぐいですね。1つ作るだけで一財産じゃないですか。もはやここまでくると、私が持って行くだろうと言う決め打ちにも近い想定だというのが透けて見えるんですが」


 それでいいのか運営。とは思うが、もう公式マスコットにもなってるしなぁ。今までの事を考えれば「どうせ持って行くだろ」と思ってしまうのもやむなしな面がある事は否定できない。

 今回は大人しくしていたが、あのゲテモノピエロへの対策でもあるだろうしな。この設計図があいつらの手に渡ったら、間違いなく大惨事だろう。

 しかし本当に、一体何をする事になるんだろうか。設置型、と言う事は、城を作って本気の戦争でもやらされるとか? 流石に続けて亜空間でどうのこうのは無いだろうし、だとすると通常空間だと思うんだけど。


「とりあえず、カバーさんと……生産関係って事で、「第四候補」にも相談しますか」


 ついでにルフィルとルフェルとルージュも連れて行こう。金属加工が噛むからルージュには居て欲しいし、設置型のあれこれの運用は双子が得意だから。

 設計図に気をとられたが、報酬はまだ残っている。そう。スペシャルギフトって奴だ。メールにくっついているやつ。他の召喚者プレイヤーがイベント空間内で開けているのを見る限り、リボンで飾られたモザイク模様の箱らしい。

 中から出てくるのはその本人に合わせたアイテムという事で、大体喜びの声が上がっていたようだ。ボックス様を見習ったかな?


「まぁボックス様は最高ですからね。それでは開封と」


 しゅるっとリボンを解くと、そのまま自動で蓋がぱかっと開いた。そのまま、ぽん! という音及び白い煙で見えなくなる。

 一応机の上に置いて開封したので、明らかに演出ですぐに消えた煙の後には、大人しく机の上に乗っている推定中身があった。

 そこにあったのは……見た目は、「氷砕ハンマー」の色違いと言うか、あっちが氷イメージならこちらは白い石のイメージだ。これは、何かな?


[アイテム:築壁の小槌

装備品:ハンマー(攻撃++・魔攻++)

耐久度:100%

説明:魔力を込めて地面を叩くと瞬時に壁が作られるハンマー

   壁の厚みと高さは込めた魔力の量に依存する

   壁の素材は叩いた地面の素材に準じる

   武器としての性能は弱いが、十分な魔力を込めて殴ると相手が素材になる

   素材の量は装備者のスキル【解体】のレベルに依存する]


『カバーさん、少々宜しいでしょうか』

『はい、何でしょうか』

『次のイベント、城を作っての籠城戦もしくは戦争ですので、準備をお願いします。あと使い込みたい装備があるので、しばらくボックス様の試練に通い詰めます』

『分かりました』


 それでいいのか運営……! とは思ったが、とりあえずカバーさんにウィスパーを入れて、設計図2つと「築壁の小槌」の【鑑定☆☆】結果をメールに添付して送る。もうこんなのイベントの予告だろ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る