第743話 22枚目:孵化結果
緊急メンテナンスが入ったから予定がずれたが、本来なら次の水曜日のステージが最終回だった。そう考えると、間で準備の時間が取れた分まで含めれば、かなり相当ギリギリな進捗だと言えるだろう。
幸い(?)予定がずれて、その次の日曜日の夜に最終ステージが来ることになっている。これならまぁ、たぶん、恐らく、どうにかなるような気がしなくもない、んじゃないかな……?
とりあえず、大規模な入れ物については海を凍らせればいいという方法が確立されたので、作る物を宿光石の特性を付与した大出力な光属性魔法のお札に絞っている。サーチライトで実感したけど、やっぱり火力もとい出力は必要だね。
「で、そうこうしている内に、うちに来た精霊獣の子達は全員孵ったんですね。あの例外を除いて」
「あれは無理があるだろ」
霊獣の子達は基本もふもふ、時々すべすべでもう大満足なのだが、ちょっとイメージが湧かなかった「○精の卵」から孵った子達はどうなったか、というとだな。こうなったらしい。
[種族:水精
名前:ルシア
状態:健康
装備:水の衣]
実にシンプルだが、注目するべきは装備欄だ。装備を作ったり渡したりした覚えは無いのだが、既に何か装備している。
元々は魚っぽい子で、種族表記は「精霊獣(水)」だったのだが、現在は全体に水色で手のひらサイズの女の子の姿をしている。水の輪のような物を纏って、水色の半袖ワンピースを着ているのだが、これ、服と輪っかのどっちが「水の衣」だ?
なお他の子達も大体手のひらサイズな少年少女の姿になっている。そして恐らく属性イメージの色と、シンプルな服と、属性で出来た輪のような物を纏っている訳だ。
「……ちなみにエルル、この子達のような存在を見たことは」
「無い、と思うんだが……孵ったばかりだから、思いつかないだけって事もある」
どっちかというと、この子達の方が精霊のイメージに近いまであるんだよな。自分の属性と同じもの、風とか水とかが近くにあれば、ある程度操れるみたいだし。霊の一文字が取れてるけど。
現在は主にレンガで囲まれた中心区画や、その隣の畑、果樹園などをふわふわ漂うようにしているらしい。ルフィルとルフェルに聞いたところ、畑への水やりなどを手伝ってくれるとの事だ。
ちなみに火精の子はルージュの鍛冶場でたむろっていた。……まぁうちで火の気が常にある場所って言ったら、ここか台所ぐらいだからなぁ。そして台所は冷蔵室に繋がっている。
「まぁ、氷属性の子達はルミ達と仲良くしているようですし、可愛いから良しです」
フライリーさんやソフィーさん達の所の霊獣及び○精の子達も一緒に居るし、なんならわいわいと追いかけっこのような事をして遊んでいるので、大変平和な光景が見れる。多分だが、カバーさんがテイムした子もいるんじゃないだろうか。全く区別がつかないけど。
……なお、ショーナさんは「可愛い」の中でも更に「手のひらサイズ」の相手に特に弱く、他をより広く大丈夫な範囲に収めていたようで、見回りの途中で撃沈していた。畑の端っこで血まみれになって倒れてるから何事かと思ったよ。
どうやらルディルまで宝石の研磨作業に引きずり出されたらしく、かなりの数の宝石が用意されていた。気合入ってるなーとは思ったが、私も可愛いが増えるのは全面的に歓迎だ。いいぞもっとやれ。
『中間報告ですが、どうやら霊獣及び属性の精がいると、その土地の力が上がるようです。また、その土地に住む住民の成長が促される効果があるようですね』
『土地の力が上がると、狩猟を含めた採取活動の成果が割増しになるようです。また若干の未確認情報ではありますが、ステータスの成長が起こる場合、その成長幅が大きくなるという効果がある可能性も高そうかと』
……そういう効果があったらしい事が、クランメンバー専用掲示板に書き込まれていて、あの気合の入れように納得が行ったけど。そうか。そういう効果があったのか。そりゃ皆頑張るわな。
惜しむらくは、既に【絆】や【契約】でテイム状態にある住民は【絆】を覚えられない、逆に、既に覚えている場合はテイム出来ないという事だろうか。ほら、ねずみ算式に仲間の数が増やせちゃうから。
ただ、そういう皆の頑張りがあるから、そろそろ【絆】のレベル1000が見えてきたんだよね。進化はするってナヴィティリアさんから教えて貰ってるし、現状まだ枠は半分ぐらいしか埋まっていないから、まだまだ余裕ではあるんだけど。
「このイベントも終わりが見えてきましたし、次とその次のステージでは、ちょっと頑張ってテイム数を増やしてみますか」
居れば居る程効果が積み重なっていくなら、数を増やせるときに増やしておくべきだろう。
……増やす事を推奨されてる気配もする以上、ここから先に、それこそ土地改良から始めないといけない大陸が待っている可能性もあるんだし。
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