第742話 22枚目:報告相談会
やはり宿闇石は夜の間に探索しないと見つからないようで、確保できたのは4日目の夜に何とか探索した分だけだった。
その後5日目の昼も頑張って削ったんだが、開く事が出来た橋の数は8つまでにとどまった。何故かと言えば、開く数が増える程一度に出てくる量が増えていったからだ。橋の数が係数になっているんだろうか。
当然ながら5日目の夜は探索を行わず、
「蓋では無くても、後で塞いだ場所であれば入り込もうとするとは思いませんでした。しかも結構強い力で圧がかかってましたから、決戦兵器が無ければ危なかったですね」
「他にもあれだけ内側から照らして、それでもギリギリだったからな……」
まぁ収穫に比例して、一気に大量のイベントポイントが入ったのも嬉しい事だ。大量の種はともかく、例の「???の卵」って奴のポイントがかなり重かったからな……。と言うか、これ1つで8回目ステージの獲得ポイントがほとんど吹っ飛んだんだけど。
私以外だと高確率でポイント不足で泣きを見る羽目になってただろう。……まぁ、だから私に譲渡されたんだろうけど……。
とりあえず、直後の報告会で実物を出して全員を巻き込んでおいた。ははは、こんなもん私1人でどうにかなる訳ないだろ、全員強制的に連帯責任で手伝って貰おうか!
「つーかマジでやる奴がいるのかよ!? ってかいたのかよ!?」
「検証班からの検証依頼です。と言う事で、全員一丸となって頑張りましょうね!」
「あらら~。とっても良い笑顔だわ~」
『自らの手に負えんと見るや、即座に周りを巻き込んでくるとは、「第三候補」であるなぁ……』
何とでも言え。実際にどうしようもないんだから助けを求めるのは何も間違っていないだろ。
その後相談して、「???の卵」は「第一候補」の島の北側に温泉が湧く泉を追加し、そこに台を作って安置する事になった。これで十分な量のマナは吸収される筈との事なので、後はメンバーがそれぞれ魔力を注ぎ込めば孵化が早まる筈だ。
ちなみに相談で発覚したのだが、ステージの分割がとうとう5つまでに減っていたらしい。カバーさん達元『本の虫』組の調べによれば、それぞれのステージに1人ずつ「
『無事「第二候補」も目撃されていたようであるな。……そのステージ内容はともかくとしてであるが』
「いやー、ある意味これ以上なく「第二候補」らしいんじゃね? 自分勝手に動こうとする奴らを死なない程度に叩きのめして言うこと聞かせるとか」
「その人達も~、上には上がいると知って~、ちょっとは控えてくれるようになればいいわね~。色々と~」
「そこは信じても大丈夫なんじゃないですか。その辺折るべき部分はしっかり折っているでしょうし」
そんな感じなので、他のステージでもどうやら水門を出現させるか、その方法を推測する事が出来る所までは進んだようだ。……予想通り、橋を動かす所まで行ったのは私のステージだけみたいだったが。
なお海を凍らせて大きな氷を作り、中をくりぬいて特大の入れ物にする、というアイディアはまだ出ていなかったらしい。今私が話したし、恐らく『アナンシの壺』にも載せられるだろうから、次のステージでは1日目からそういう風に動く事になるだろうけど。
で。一番の議題は何だったか、というと。
「宝石の性質を人為的に変えるとか、出来るもんなんだなー。「第三候補」! 後でそっちの研究施設行ってもいいか!?」
「元より共有施設ですし、素材研究をしていたチームの方が数名居るのでどうぞ」
「マジで!? まぁ話が早いに越した事は無いから良い事だ!」
あの島が「大きな傷」と認定された元凶の1つである、宿闇石の事だ。
これについては、幸いと言っていいだろう。素材研究をしていた研究チームの人にカバーさんが実物を見せた所、研究成果の1つであるという証言が得られた。何に使うかと言えば、現実で言うところの日焼け止めやサングラスの材料にする想定だったらしい。なるほど。
だがまぁここで更に問題が発覚したんだが、どうやら宿闇石、理論と共に、上司預かりになってたらしいんだ。そう。いまだに見つかる気配の無い、研究所の方針を決めて指示を出す役割の。
『……これはもしかすると、その責任者達は、事が起こった時には研究所に居なかったのでは……という気がして来たであるな』
「私もそう思うんですよね……。やらかすだけやらかして自分はさっさと逃げ出すとか、どこかで見たような最低具合です」
「その場合~、町の運営をしていた人達も~、一緒に逃げてそうよね~。そっちも見つかっていないんでしょう~?」
見つかって無いんだよな。その一部及びその家族を除いた魔族の人達は、ほぼ全員見つかっているんだけど。ついでに言えば、レアである事を示すあの豪華な宝箱の目撃情報も聞かなくなってそこそこ経つ。
やらかすだけやらかして、放置してさっさと逃げ出した奴らについてはもう放置するしかないとはいえ、やっぱり腹立つな。
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